自然災害と共存する知恵を伝え、学ぶ活動
人間社会も災害の原因
日本は環太平洋地震帯や火山帯にあるので、地震や火山噴火が何度も起こります。温帯多雨地帯にあり、夏から秋にかけて台風の進路にあたり、集中豪雨や台風にも何度も見舞われています。
地形をみると、山地が多く、河川は急流です。せまい国土であるにも関わらず、人口が多く、氾濫しやすい大きな河川の下流域に人々が密集していることになります。災害は、地震・大雨のような自然現象だけが原因で起こるものではありません。そこに人々の生活が存在していることも災害が起こる原因です。そこに人間社会がなければ、単なる自然現象でしかありません。
自然の恵みを受けるために
日本はそういう風土であるからこそ、わたしたちの先祖・先輩は様々な自然の恵みを資源として、命をつないできました。自然の恵みを受けるためには、「自然災害が起こることを覚悟して生活する」「自然(災害)と共存する」ための知恵を、人や地域に伝えること、広めることが重要です。
自然の大きな力がはたらいたとき、モノがこわれてしまう、失われてしまうことは、避けられないでしょう。しかし「命を守る」「そこから生活や地域をたてなおす」ことはできます。
被災地で調査研究し社会に貢献
そのための知恵を伝え、学ぶ活動が「災害伝承」です。日本という風土でこれからも暮らしていくためのすべでもあります。
私たちの研究室では、実際の災害が起きた被災地での調査研究や新しい災害伝承の方法を開発することで、効果的で持続的な災害伝承ができる社会の実現に貢献しています。
災害・防災という「教科・科目」がない(教科書がない)ところに興味をひかれました。さらに、学生の頃に地元で地震災害と水害が起きて、どちらも体験したことも、強く影響しています。
それからしばらくして、現在の東北大学にいざ着任しようとする頃に2011年東日本大震災が起きてしまいました。この地域には、過去に津波が繰り返し起こっていました。それにも関わらず、被災地を歩いてみると、「過去の津波にまつわる伝承」が伝わっている地域とそうでない地域があることがわかりました。
さらに、災害伝承の有無や内容が被害の大きさに関係していることもわかりました。このとき、災害・防災というテーマの中で、特に「災害伝承」という活動に向き合わなければいけないと決意しました。
◆主な職種
(1) コンサルタント(ビジネス系等)
(2) 事業推進・企画、経営企画
(3) 大学等研究機関所属の教員・研究者
◆学んだことはどう生きる?
卒業生は、大学・研究機関(防災関係)、地方自治体、建設コンサルタント、通信会社、テーマパーク運営会社など、様々な業界で活躍しています。
防災に関する職業は、防災系の政府機関、自治体の防災部局、防災関係のコンサルタントなど、決して多くはありません。「職業」と直接結びつくことはまれで、研究テーマはあくまで興味・関心のなかで取り組んでいただき、その研究活動のなかで身につけた、モノの考え方、能力、スキルを就職に活かしていただくというスタイルです。
災害伝承の研究は、これまで歴史学、民俗学、社会学などの学問のなかで「定性的」なアプローチがなされてきました。
私自身は工学の出身であり、建築・社会環境工学科(土木工学専攻)も工学です。私たちの研究室では、災害伝承というテーマに対して、統計的手法や実験的な研究を通して、「定量的」なアプローチによって、数値的な実証や新しい技術を開発する、世界でも珍しい取り組みを行っています。
これは学科のごく一部の研究テーマで、ほかにも「豊かで文化的な社会生活の基盤を創造するための学問」として、道路・鉄道・港湾空港・上下水道などの公共デザイン、自然共生型の水辺空間の創造、災害に強いまちづくり、住みやすく経済的な都市の計画を扱っています。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? いろんな学問を学べる学科があるといいなぁと思います。 |
|
Q2.感動した/印象に残っている映画は? 『スター・ウォーズ』シリーズ |
|
Q3.大学時代の部活・サークルは? バレーボール(スタメンでないキャプテン) |
|
Q4.好きな言葉は? めぐりあい、川の流れのように |