光工学・光量子科学

レーザー

レーザー光の新たな機能性を見出し、光学顕微鏡や微細加工へ応用


小澤祐市先生

東北大学 多元物質科学研究所(工学研究科 知能デバイス材料学専攻)

出会いの一冊

電磁場の発明と量子の発見

筒井泉(丸善出版)

光工学やレーザー科学は電磁気学や量子力学を学問の土台としています。歴史的には電磁気学の完成の後に、量子力学が見出され現代科学の基礎となっています。本書はそのような歴史的な流れにも触れつつ、どのようにこれらの学問が確立されてきたかを解説しています。

高校生向けとしては内容は難しいかもしれません。ですが、当時のいろんな物理学者が奮闘した様子も描かれており、その雰囲気を感じとるだけでもいいと思います。その上で、大学に入ってからこれらの専門分野を学ぶと、より理解が深まるかもしれません。

こんな研究で世界を変えよう!

レーザー光の新たな機能性を見出し、光学顕微鏡や微細加工へ応用

断面は丸だけじゃない

レーザーポインターなど、日常でレーザー光に触れる機会はあると思います。そのレーザー光の断面の光の分布は、おおよそ丸や楕円形をしているはずです。ところが、ドーナツのように中心に穴の空いた形状や、格子状にスポットが配列したような形、さらには同心円状に無数のリングが形成されるものなど、多様な形、つまり空間分布を持つ光波が存在します。

また、光は空間を伝搬する電磁波ですが、その波としての振動する性質(位相や偏光と呼ばれます)にも空間的な分布を持たせることが可能です。

ドーナツ状レーザーの優れた特性

このような光の性質の空間的な分布をデザインすると、レーザー光そのものが持つ性能を大きく向上できることが最近わかってきました。

例えば、レンズを用いてレーザー光を集光すると小さな点になりますが、通常は波としての性質のためにその点の大きさは概ね光の波長より小さくできません。一方で、ドーナツの形を持ち、そのドーナツの中心から外側に振動するレーザー光を使うと、普通のレーザー光よりも更に小さな点を作る能力があることがわかりました。これは、これまでの常識では考えられなかった特性です。

高性能な計測技術や材料加工へ

小さな点を作ることができれば、光学顕微鏡や、レーザー微細加工などの性能向上に繋がります。私の研究では、このような光の形や分布という性質に着目して、光波としてのレーザー光の新たな機能性を見出し、高性能な計測技術や材料加工などへ応用することを目指しています。

我々の研究室で開発した、世界で唯一のドーナツビームを発生させるHe-Neレーザーです。赤色のレーザー光を出すHe-Neレーザーに対して、独自の技術に基づいて改造を行いました。出力ビームは中心に穴の空いたドーナツ状の形をしていることがわかると思います。
我々の研究室で開発した、世界で唯一のドーナツビームを発生させるHe-Neレーザーです。赤色のレーザー光を出すHe-Neレーザーに対して、独自の技術に基づいて改造を行いました。出力ビームは中心に穴の空いたドーナツ状の形をしていることがわかると思います。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

大学の学部4年生の時に配属された研究室での研究テーマが、光を使った新しい分光装置の開発でした。この時に、初めてレーザーを使った実験を行いました。大型のレーザー装置を制御して、測定結果を得るための自動化システムを自分で構築しました。

小さい頃から工作したり、プログラミングしたりするのが好きだったこともあり没頭しました。測定試料のスペクトルが綺麗に出てきた時は、とても感動したことを覚えています。この経験が現在までにつながっているような気がします。

レーザー共振器から出力するレーザー光を調整している様子。研究を開始したばかりの学生時代の頃です。発振するレーザー光は近赤外波長で目に見えないために、特殊な紙を使って出力ビームを見ながらレーザー共振器を構成する鏡を調整しました。
レーザー共振器から出力するレーザー光を調整している様子。研究を開始したばかりの学生時代の頃です。発振するレーザー光は近赤外波長で目に見えないために、特殊な紙を使って出力ビームを見ながらレーザー共振器を構成する鏡を調整しました。
先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「空間構造を持つ光の発生法の開発とその応用に関する研究」

詳しくはこちら

先生の分野を学ぶには
もっと先生の研究・研究室を見てみよう
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

◆主な職種

◆学んだことはどう生きる?

先生の学部・学科は?

先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

だれが原子をみたか

江沢洋(岩波現代文庫)

原子や分子の発見の歴史を説明するだけでなく、実際に様々な実験を通じて確かめていく過程が詳細にまとめられています。中高生向けと書かれていますが、内容は深く、考えさせられます。

個人的には本の後半が圧巻でした。化学反応の結果から酸素や水素が分子を形成していることを解き明かす経緯を描いた部分は推理小説のようです。

特に1900年以降の原子や分子の実在を確かめていく歴史的な流れが、まるでその時代にいるかのように書かれており、そして当時の科学者が何を考え、どのように研究してきたかを伺い知ることができます。ある意味では近代の科学の原点を見ているようでした。


ヒルは木から落ちてこない。 ぼくらのヤマビル研究記

樋口 大良、子どもヤマビル研究会(山と渓谷社)

学校の先生だった樋口さんが、子どもたちと続けているヤマビル研究の記録です。子どもたちがヤマビルを対象に自ら「研究」をして、新しい「発見」をします。そして、今までのヤマビルに対する通説を覆すことに成功しました。

私はこの本を読んで衝撃を受けました。子どもたちが自分で考え、実験と検証を行い、科学的な事実を積み上げて、仮説を検証しています。研究をするというプロセス全てがこの本に書かれています。研究するとは何だろうという人にとって、新しい観点が得られるかもしれません。

一問一答

みらいぶっくへ ようこそ ふとした本との出会いやあなたの関心から学問・大学をみつけるサイトです。
TOPページへ