20万人のDNAを解析! 身長や体重に関わる体質が病気のなりやすさに影響
遺伝する病気のなりやすさ
私たちは、顔つきや体格、考え方や好きなものなど皆それぞれ違っていますが、こういった違いは何が原因でしょうか?
血が繋がった親や兄弟について考えてみると、他人よりもあなたに似ていますよね。私たち一人一人の違いは、両親から引き継いだ遺伝情報の影響を受けていて、病気のなりやすさも同じように遺伝的な影響を受けることが知られています。
なぜ病気になるのかをDNAの配列から明らかに
遺伝情報は、DNAによって定められ、この配列の違いが個人の違いの元になります。この違いの元を明らかにできれば、病気になりやすい人を発症前に予想できるだけでなく、病気が生じる原因についても迫ることができます。
つまり、これから起こる病気を防ぐだけでなく、病気の原因を特定することで新しい治療の開発にも繋がるのです。
アジア最大規模のバイオバンクを活用
私は、アジア最大規模のバイオバンクである、バイオバンク・ジャパンの解析に携り、約20万人の遺伝情報の解析を行なってきました。
病気の発症に関わる原因だけでなく、身長や体重といった身体的特徴に影響する遺伝的要素についても研究を行ない、身長や太りやすさに関する生まれついた違いが、いくつかの病気のなりやすさに影響していることを発見しました。
現在は、眼科医として診療を行いながら、眼の病気だけでなく認知症や脳の画像検査について遺伝子解析を中心に人工知能(AI)の技術も活用して取り組んでいます。近年、医学分野でもデータサイエンスと呼ばれる領域に注目が集まっており、病気を克服するための方法の一つとして期待されています。
遺伝学研究から得られた研究成果は再現性がとても高いことが知られています。医師として勤務した後に研究を開始した私にとって、病気になった方から得られた情報を利用した研究は、患者さんに直接つながるイメージを持つことができました。これは、ゲノム研究に関心を持つようになった理由の一つです。
◆主な業種
(1) 病院・医療
◆主な職種
(1) 医師・歯科医師
医学部では、病気の原因を明らかにして克服するという共通の目的を持って様々なアプローチで研究に取り組んでいます。
私たちの教室では、DNAやRNAといった核酸の情報だけでなく、病院で患者さんから取得された情報を用いた機械学習 (AI)による解析も行なっています。また、眼科では珍しいのですが悪性腫瘍(がん)の遺伝子解析から、新しい診断方法を確立したいと思い研究に取り組んでいます。
具体的なテーマを挙げることは難しいのですが、ゲノム解析の結果は一般公開されているものも多く、アイディアさえあればコンピュータ一1つで誰でも様々な研究を行うことができます。私が解析を担当した日本人の肥満や身長の解析結果も公開されており、以下のウェブサイトから入手可能です。
・JENGER: http://jenger.riken.jp/
・NBDCヒトデータベース: https://humandbs.dbcls.jp
Q1.大学時代の部活・サークルは? バレーボール部 |
|
Q2.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 不動産 |
|
Q3.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 愛犬と遊ぶこと |
|
Q4.好きな言葉は? “The future belongs to those who believe in the beauty of their dreams.” Eleanor Roosevelt |