新しいツールで細胞研究が進歩! 針型顕微鏡の開発
小さな細胞に合わせた小さなデバイス
胚性幹細胞、人工多能性幹細胞など、優れた細胞材料が開発され、生き物の形作りの仕組みの解明、再生医療への応用が期待されています。
しかし、このような細胞材料を、より体の中に近い、高次の構造体に育てるためには、それぞれを適切な場所、向きに配列する必要があります。また、構築した組織モデル自体が新しいため、その評価法も新しく作らねばなりません。
このような新しい構築方法、分析方法の開発は、工学の研究者が得意とするところです。我々はこれまで、細胞用の小さなデバイスを開発してきましたが、今回は、針型のデバイス、走査型プローブ顕微鏡を紹介します。
光を使わない顕微鏡とは
皆さんは、光を使わない顕微鏡というと、不思議に思われるかもしれません。ところが「走査型プローブ顕微鏡」と呼ばる針型の顕微鏡は、小さな針で見たい物質の表面をなぞることで、その物質の情報を得ることができます。
凹凸情報がイメージしやすいですが、これ以外にも、どのような化学物質がそこにあるかというような、光学顕微鏡では可視化が難しいような情報も取得することができます。「見る」だけでなくて、ものを「届ける」ことも、細胞の材料を少しだけ「採取」して、分析することもできます。
このような新しい工学のツールを作ることで、これまでには不可能だったような細胞の操作、分析が可能となり、バイオの研究を進めることができると信じ、日々研究活動を行っています。
高校時代は医学にも興味がありましたが、血が苦手ということもあり、悩んで工学を選びました。今は、工学の立場から医学分野にアプローチをしています。最近の学問は融合が進んでいます。大学選びは重要とは思いますが、それで全て決まってしまうなどとは思わずに、今の興味を大事にしてもらいたいですね。
◆主な業種
(1) 医療機器
(2) 化学/化粧品・繊維・衣料/化学工業製品・石油製品
(3) 電気・ガス・水道・熱供給業
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
(2) 設計・開発
(3) 品質管理・評価
◆学んだことはどう生きる?
専門性を生かして、製薬会社、医療機器企業に行く人はもちろん、化学メーカー、商社に行く人もいて、様々です。理系のアプローチは、どこでも使えるものと思っていて、きちんと学べば、どの分野でも活躍できる人材になれると思います。
医歯学系の大学にある工学系の研究所、という点が特徴的な点と思います。工学的な観点から医学系の研究を進めるには、適した環境にあると思います。
2023年11月現在は、東京工業大学との統合の動きが進んでいますが、統合の目的の一つが医工連携であり、この特徴は変わらないものと思っています。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 数学、物理をもっと一生懸命にやりたいですね。どんな職業を選んでも、定量的に物事を理解するセンスは重要だと思います。 |
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Q2.一番聴いている音楽アーティストは? SixTONES:家族が大好きで、家や車で聞いています。「こっから」:主題歌であったドラマを見ていたこともあり、逆境に負けない歌詞が好きです。 |
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Q3.感動した/印象に残っている映画は? Disney映画全般。未来を切り拓いていく主人公が好きです。 |
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Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 研究以外の時間の多くは、家族、子育ての時間です。三人の子供がいますが、それぞれの成長が日々あって楽しいです。 |