紙で作った未来の電子機器を世界に先駆けて
大学時代に環境を浄化する紙を開発
皆さんは、「紙」と言えば何を思い浮かべますか?新聞、教科書やノート、ティッシュペーパー、段ボールといったところでしょうか。いずれも私達の日常に欠かせないものですよね。しかし最近は、紙のありがたみが薄れ、需要が徐々に低下しています。
紙は、植物繊維をすいてつくる伝統的な農学材料です。私は大学生時代、農学部に所属し、新しい機能を持つ紙の研究開発に取り組みました。恩師の指導のお陰で、「水素をつくる紙」や「環境を浄化する紙」を開発することができました。
博士(農学)学位取得後も、紙のさらなる進化にこだわって研究を進めました。しかしそれは困難を極め、歴史の古い紙にはもう改良の余地はないのかな、と諦めかけていました。
紙の電子ペーパー、蓄電池、メモリを作る
そんな中、異分野の研究者が集まる大阪大学・産業科学研究所に所属する機会を得ました。そこで色々な先生方と議論する内に、持続生産可能・軽量柔軟・自然に戻る生分解性といった、紙にとっては当たり前の特性が、未来の電子機器に求められる要素であることに気づきました。
そして、電子機器専門(工学部)の先生方と共同研究を行うことで、電子ペーパー・蓄電池・メモリ・センサー等、紙ベースの電子機器を世界に先駆けて創出することに成功しました。
軽量性・柔軟性・生分解性を持つ電子機器
特筆すべきは、最先端レベルの性能に加え、紙ならではの優れた軽量性・柔軟性・生分解性を併せ持つことです。人にも環境にも優しい未来の電子機器として大いに期待できます。この経験を通し、「紙ってすごい」と確信しました。
紙はまだまだ多くの可能性を秘めた材料です。紙にこだわり異分野の視点を取り入れる、すなわち、「伝統的な紙を最新科学でリノベーションし、未来に必要な新機能を生み出す」をモットーに、引き続き研究を進めていきます。
さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0
トム・ラス、訳:古屋博子(日本経済新聞出版)
自分の強みを知り、それを活かすための戦略やアイデアが書かれています。私は、大学4年生の頃にこの本を読みましたが、研究者の道に進む一つのきっかけになりました。自分の長所を分析し、将来どんな道に進むのかを考える際に役立つ本だと思います。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ? 同じ農学部に入り、もっと一生懸命学びます。理系で広範な分野を学びたい方には、農学部がお勧めです。 |
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Q2.一番聴いている音楽アーティストは? Mr. Childrenです。特に『GIFT』は歌詞がお気に入りです。 |
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Q3.熱中したゲームは? 歴史系のシミュレーションゲームや将棋をよくやっていました。戦略を立てて物事に取り組むところは、研究にも通ずるところがあるかもしれません。 |