人と同じように言葉を理解する言語処理モデルの構築
生成AIは人の言葉を理解しているのか
ChatGPTの登場に伴い大規模言語モデルや生成AIなどといったフレーズを耳にする機会が増えているのではないかと思います。これらの技術は人の言葉を対象とした深層学習モデルの一種です。
深層学習技術の進歩に伴ない、このような言語処理モデルはあたかも人の言葉を完全に理解しているかのような応答を返すことができるようになってきています。しかし、人であればしないような誤った応答や辻褄の合わない応答を返すこともあり、どこまで人と同じように言葉を理解しているかはよく分かっていません。
人は文を理解するとき意味フレームを使う
私は深層学習とフレーム意味論を融合させることでこの疑問に答えたいと思っています。
フレーム意味論とは、言語学者のチャールズ・フィルモアが提唱した言葉の意味に関する理論的枠組みです。フレーム意味論では、人間が文を理解する際には日常的な場面や出来事をスキーマ化した認知構造である意味フレームと呼ばれる知識を想起していると考えます。意味フレームは簡単に言うと、人が持つ言葉に関する常識のようなもので、言語学者を中心としたグループにより大規模なフレーム知識が人手で整備されています。
人間のフレーム知識をどのくらい再現できるか
このようなフレーム知識を深層学習モデルによりどのくらい再現できるかを調べることで、深層学習に基づく言語処理モデルがどのくらい人と同じように言葉を理解しているのか明らかにしたいと思っています。また、その過程で得られた知見をより高性能な言語処理モデルの構築に活かしていきたいと思っています。
◆ 笹野研究室HP