百聞は一見に如かず! 最新装置を駆使し、細胞の構造を理解する
細胞はどのように作られるのか
Seeing is believing、日本語だと「百聞は一見に如かず」ということわざがあります。私のとても好きな言葉で、研究の座右の銘であり最も強いモチベーションです。
人体は約37兆個、200-300種類の細胞から作られていると言われています。細胞それぞれ異なる役割を持っており、私は細胞の形が、どのように作られるのか? 原子レベルではどのようにできているか? それがどう機能するのか? 私はこの疑問を、これらを直接見ることで理解しようとしています。
細胞を構成する小さな部品、タンパク質
私たちは特に、細胞の形を作るのに関わるタンパク質に興味を持ち、その研究を進めています。細胞は、タンパク質や脂質といった、とても小さな部品でできています。これら小さな部品は、0.1ナノメートル(これは髪の毛の太さの約1万分の1)という微細な大きさで、見分けるのがとても難しいです。
さらに、これらの小さな部品を理解するだけでなく、それらがどのように協力して細胞を作り、さらには私たちの体を構成する臓器や全体にどう影響しているかを考えるのは、もっと複雑な問題です。
放射光施設SPring-8や極低温光学顕微鏡を使って
このような難しい問題を解決するために、最新の研究手法や装置を駆使しています。例えば、2017年にノーベル賞を受賞したクライオ電子顕微鏡技術や、SPring-8といった放射光施設の強力なX線、そして-180度以下で観察する特殊な光学顕微鏡などがあります。これらの技術を使うことで、細胞の形がどのようにタンパク質によって作られるか詳しく調べられます。
この研究が進めば、“生き物の内部構造の Googleマップ”のような生物の内部構造の詳しい地図ができるかもしれません。これはミクロな現象が、マクロな機能にどう作用しているか理解するのに役立ちます。
大学3年生のときに私の恩師となる構造生物学の専門家である佐藤衛先生の講義を聴講し、生体内での様々な機能にはタンパク質が正しい形に折りたたまれて、構造をとり、機能することが重要であることを知り、構造生物学という研究分野に興味を持ちました。
卒業研究を選ぶ段階で、自分も未知のタンパク質構造を解析してみたいと思い、佐藤衛先生の研究室に入り、今に至っています。
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「7.生物・バイオ」の「21.分子生物学・細胞生物学・発生生物学、生化学(生理・行動・構造等 基礎生物学も含む)」
Q1.一番聴いている音楽アーティストは? Fatboy Slim |
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Q2.大学時代の部活・サークルは? ヨット部 |
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Q3.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? ボルダリング |
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Q4.好きな言葉は? Seeing is believing |