まだ誰も観ていない化学反応の瞬間を捉える装置
化学反応式はなぜこうなる?
この文章を読んでいる皆さんは、これまで化学反応式を学ばれてきていると思います。反応式を学ぶためのよくある問いは、HCl + NaOH → [ ]と反応分子と生成分子のどこかが穴埋めになっている形式のものだと思います(この問題は NaClとH2Oが生成する が正解となります)。
初めて教わったときに、どうしてこの分子の形になるのだろう? どうやってその反応を観たのだろう? と疑問に思ったことはありませんか。左側の式から、穴埋め部分を埋める分子の形はいくつか思いつくと思います。ですが、答えは一つです。
分子が別の分子になる、式の本当の答えを知りたい
私は大学生のころ、大阪大学基礎工学部の化学応用科学科に進学し、大学学部の授業を受け順調に化学の知識を蓄えていきました。その中で、同級生たちの数人の中で、化学反応そのものを何とか観てみたいという話をよくするようになっていきました。
二つの分子が近づいて、原子を入れ替え、別の分子になる。この化学反応が生じる瞬間を観てみたい。これは化学系の大学生が一度は思うことかもしれません。大学では、化学反応の最初にある「反応物」と反応が終わった後の「生成物」を理解する技術は高度に進歩していて正確に理解できるということを学び、「生成物」の数は実は穴埋め問題のように一つだけではないことを学びます。ですので、本当の化学反応式の「答え」を知りたくなるものです。
最先端の計測技術で装置開発
しかしながら化学反応の瞬間を観るということはとても困難で、光や電子で反応する限られた条件以外、現在でもほとんど反応の瞬間を観ることができていません。
私の研究テーマは最先端の計測技術を駆使して、光反応ではない化学反応の瞬間を捉える装置を開発するというテーマです。皆さんの今学ばれてる化学反応の瞬間を将来的に捉えて、皆さんが化学を学ばれた時に生まれる「なぜ?」にお答えしていきたいと考えています。
専門性のある学術領域はやはり研究室配属だと思います。前々身の研究室から実験技術が継承されてきており、長い間で磨かれてきた学問および研究への姿勢や、難解な実験技術を学べたことと、現代まで進歩した科学の組み合わせから新規テーマが生まれてきているかとは思います。
◆主な業種
(1) 半導体・電子部品・デバイス
(2) 光学機器
(3) 自動車・機器
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
(2) 設計・開発
(3) 生産技術(プラント系以外)
◆学んだことはどう生きる?
スマートフォンやテレビに使用されるフィルムや電子材料、車に搭載されている機器に関連する業界において、光技術は計測機器、光センシングに必要で、さらに発光材料や光透過フィルムの開発などの応用開発に必要とされています。研究テーマや専門技術は、光の特性を現実的に応用するときにとても重要で、業務の中で光の専門者として製品の相談段階から開発の応用段階まで活かされます。
光システムコースは、平成5年10月に設立された光応用工学科を母体としています。当時"光"を冠した名前を持つ学科は国立大学として初めてでした。平成28年に理工学部が設置され学科からコースとなりました。所属されている先生方の背景は、機械学科、電気電子工学科、情報学科、応用化学科という広い学科の学際領域となっていますので、多くの選択肢が生まれます。
分子分光学によって光触媒反応や光電変換、生体反応を理解する基礎研究や、ナノ構造を持った媒体が生むメタマテリアル材料の光物理過程を見る研究、画像処理による医療画像認識や三次元画像認識と幅広い研究を選択することができます。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? やはり化学でしょうか。 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? フランスですね。学生のころパリに留学しましたが、刺激の多い都市でした。 |
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Q3.一番聴いている音楽アーティストは? 音楽のJPOPはドライブが好きなので全般的に聞いています。ヨルシカの『だから僕は音楽を辞めた』とYOASOBIの『群青』が同時代のアーティストの対比的な想いがあって気に入っています。 |
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Q4.感動した/印象に残っている映画は? 『インビクタス 負けざる者たち』ですね。 |
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Q5.大学時代の部活・サークルは? 落語研究部でした。 |