新しい物性物理 物質の起源からナノ・極限物性まで
伊達宗行(講談社ブルーバックス)
物性物理は、物理学の一分野で、原子や電子など微細な視点から物質のさまざまな性質を解き明かす研究分野です。この本では、著者の軽妙な語り口によって、物性物理学の面白さが詳しく説明されています。難しい部分も出てくるかもしれませんが、気軽に興味を持ったところを読めば良いと思います。
私が特におすすめするのは、最後の2章に書かれた最新の研究です。そこでは、高圧をかけて水素を金属化させ、それによって超伝導を引き起こすという夢が語られています。興味深いことに、2023年現在ではこのアイデアが水素化物を用いて実現され、大きな注目を浴びています。この分野の進展は目を見張るものがありますね。
音波や熱の新機能の実証に挑む
原子の振動が音や熱に
私は物性物理学の研究者で、物質内で起こる新しい物理現象を探求しています。特に、固体を伝わる音波や熱の不思議な振る舞いを実験的に調べています。
音や熱は身近な現象ですね。たとえば金属のフライパンは、叩けば甲高い音が鳴るし、火であぶればたちまち熱くなります。これらは物質中の原子振動によるものです。金属のような固体は、互いにバネでつながった原子が規則正しく配列したものとみなせます。物質を叩いたり熱したりすると、これらの原子が激しく振動し隣の原子に伝わっていくことで音波や熱として広がります。
ちなみに音と熱はこの振動の周波数が異なるだけで、音波は数Hzから数kHz、熱では10桁以上高い周波数で振動しています。
音波で磁石のN極・S極が変わる
さて、最近私が研究しているのは特殊な磁石です。
この物質の音や熱の振る舞いを詳しく調べると、通常の音波や熱とは異なり、直進せずに曲がったり、進行方向を反転すると伝わりやすさが変わることが分かってきました。これは電子の流れである電流ではよく知られている現象でしたが、これが音や熱でも生じることは非常に驚くべきことでした。
また音波を磁石にあてると、磁石のN極とS極の向きが変わったり、逆にN極とS極の向きによって、音波の伝わり方が変わることも分かってきました。
音や熱を自在に操る
これらの研究はここ数年で大きく進展したものです。この研究が進展すると、もしかしたら電子回路のように音や熱を自在に操ることができるようになるかもしれません。
私は様々な実験舞台(装置とデバイス)を駆使しながら試行錯誤することで、こういった音や熱の新機能の実証に挑戦しています。
◆主な業種
(1) 大学・短大・高専等、教育機関・研究機関
(2) 電気機械・機器(重電系は除く)
◆主な職種
(1) 大学等研究機関所属の教員・研究者
(2) 設計・開発
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 物理 |
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Q2.感動した/印象に残っている映画は? 『ビューティフル・マインド』 |
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Q3.学生時代に/最近、熱中したゲームは? 『ボンバーマン』 |
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Q4.大学時代の部活・サークルは? ギターマンドリン部 |