いきもののカタチ 続・波紋と螺旋とフィボナッチ 多彩なデザインを創り出すシンプルな法則
近藤滋(学研プラス)
カブトムシや貝殻など自然のかたちができあがる理由を解き明かす試みが紹介されています。「自然ってすげぇ!」となります。生き物のかたちを数学的に記述する試みは、20世紀初頭にダーシー・トムソンによってなされ、"On Growth and Form"という著名な書籍が出版されています。例えば生物の骨格構造と建築物設計の類似性や、生物の構造とフィボナッチ数列の間の関係などが当時論じられました。
私の研究分野は、身の回りのモノの変形に潜む法則を導き出すことにあります。こちらの本は、いきもののカタチが出来上がる仕組みを解き明かす最先端の試みが面白く紹介されているおすすめの書籍です。
しなやかさは強さ!おもちゃや生き物もヒントに、ソフトロボットをデザイン
薄い材料や構造のしなやかさを研究
しなやかな枝、しなやかな髪、しなやかな身体、しなやかな心。 「しなやか」とは「弾力にとんでたわむさま」を指します。 「柳に雪折れなし」ということわざが言うように、一般に柔らかくしなやかなものは、堅いものよりも、よく耐え非常に丈夫です。私はロープ、植物のつる、パスタ、海底ケーブル、リボン、卵の殻、はねるおもちゃといった薄い材料や構造のしなやかさが、どのように役立つのか研究しています。
材料力学は魅力的な最先端分野
スペースシャトルや建築物のような構造物は頑丈である必要があります。物体の変形や破損を予測する学問を材料力学と言い、物理学や機械工学の一分野です。
材料力学はガリレオ・ガリレイの研究にはじまり、身の回りの構造物をデザインする基本的な学問であるため、完成された分野と見られることが多いです。しかし、近年の3Dプリンターなどのデジタル加工技術、コンピュータグラフィックスに代表される計算技術の発展の後押しを受け、材料力学は魅力的な最先端分野として蘇っています。
ソフトグローブや魚のようなロボット
私の研究対象である薄い材料や構造のしなやかさは、ソフトロボティクスとして知られる分野で応用されています。ソフトロボットは、従来の伝統的な"硬い"ロボットと違い、柔らかい要素をうまく活用します。例えば脆いものを壊さずに掴むソフトグローブや、魚のような動きをする遊泳ロボット、跳躍ロボットなどが開発されています。
これらのソフトロボットは外科手術や臨床医療、宇宙空間などでの活躍が期待されています。私は身の回りにあるおもちゃや生き物から着想を得て、最適なソフトロボットのデザインについて考えています。
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「17.化学・化学工学」の「67.物理化学、分子デバイス化学(液晶、光触媒等)」
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「14.ロボット・自動車・機械」の「56.機械工学(設計、エンジン、材料、流体等)」
◆主な業種
(1) 航空機・航空機器
(2) 一般機械・機器、産業機械(工作機械・建設機械等)等
(3) セラミクス、ガラス、炭素
機械工学と聞くとどのようなイメージを持ちますか?おそらく自動車や飛行機のようなものをイメージするかもしれません。私が所属する慶應義塾大学理工学部機械工学科はそのイメージとは全く異なると思います。
例えば細胞の変形を扱う研究室もあれば、宇宙探査ロボットを作る研究室もありますし、脳科学やアートを扱う研究室もあります。皆さんがイメージする機械工学だけではない機械工学が広がる大変ユニークな学科です。
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? スイス。研究員時代に2年暮らしていました。美しい山と湖を今でも時々思い出します。 |
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Q2.一番聴いている音楽アーティストは? ASIAN KUNG-FU GENERATION |
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Q3.学生時代に/最近、熱中したゲームは? 『Splatoon3』 |
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Q4.好きな言葉は? 「『納得』は全てに優先するぜッ!!」(ジャイロ・ツェペリ, STEEL BALL RUNより) |