宇宙輸送革新!宇宙船を動かす大電力のプラズマ推進エンジン
高速の加速が可能、宇宙でのニーズは高い
私の研究では、磁気ノズル中のプラズマ流に関する基礎研究と、その結果をベースとしたプラズマ推進機の開発を行っています。
プラズマは通常の気体と異なり、電荷をもった粒子で構成されているので、電界や磁界によって力を受けるため、高速の加速が可能になります。はやぶさ2等のミッションで活躍しているイオンエンジンでは、プラズマ中のイオンを電界で加速して噴射することで推力を発生しています。
宇宙での活動エリアが拡大する中で宇宙船を動かす推進エンジンの役割は重要だと思い、将来的にもっと大電力で作動するエンジンを開発したいと思うようになりました。
プラズマ現象を理解し、年々性能アップ
通常は電極を用いたプラズマ中の荷電粒子を加速しますが、電極が損傷してしまう等の問題もあることから、電極を一切用いずにプラズマを加速して推力を発生できないかと思うようになりました。
オーストラリアの大学で研究をしているときに、共同研究として実際に推力が発生するのかを実験し、そこからこの研究にのめりこみ、プラズマ物理現象を理解しそれを制御することで、年々推進性能が上がってきています。
実験室から宇宙と地上へ新技術を
実験室で自分達で物をつくり世界トップレベルの性能を出せた瞬間が非常に楽しく、そしていつか宇宙で動くときを夢見て研究を行っています。またこの研究で培う技術が地上産業で必要とされる場合も多々あり、常に自分にとって新しいことを求めて研究を進めています。
プログラム関係に進みたいと大学に入学しましたが、プログラミングの講義で力尽き、その後電気関係のコースを選択しました。研究室配属では、当時はじゃんけんで決まる時代でしたので、何となくプラズマの研究室に入りました。いざ実験を始めると、自分でものを作ってデータを取って解釈し、その結果が新しい発見であることが非常に楽しくなり、大学院修士・博士と進学しました。
◆主な業種
(1) 電気機械・機器(重電系は除く)
(2) 半導体・電子部品・デバイス
(3) 重電系
◆主な職種
(1) 設計・開発
(2) 基礎・応用研究、先行開発
(3) 生産技術(プラント系以外)
◆学んだことはどう生きる?
卒業生の一部は、半導体製造装置メーカーに就職しています。そこでは、プラズマを用いた微細加工技術の開発・販売を行っておりますが、当研究室で学んだ技術や考え方を生かしながら、装置設計を進めているようです。メーカーでは業務の細分化が進んでいますが、全体を見れる人がいないと開発・製造は成立しません。当研究室で学んだ装置全体を考える力や見る力は、将来卒業生にとって有用なものになると期待しています。
当研究室(PDPL研究室:Plasma Dynamics and Propulsion Laboratory)では、比較的大型の実験装置を使って研究をしていますが、すべて研究室での手作りになります。自分で手を動かして物を設計・製作し、それを使い実験し、データ解析も行うという、一連の流れをすべて行うことが出来ます。また、その応用として、今回のテーマであるプラズマエンジン、産業応用プラズマ装置開発、核融合関連プラズマ等と多様な研究を展開可能です。
プラズマは宇宙エンジンや核融合だけでなく、産業界においても幅広く活用されています。また、プラズマは密度や温度、ガスの種類等で、その特性や振る舞いが大きく異なります。プラズマが地上での産業にどのように活用されているのか調べてみましょう。また、それらの産業応用において、どのような特性のプラズマが求められているのかを調べてみましょう。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 機械工学、流体力学 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? オーストラリア。自然あふれる環境、おおらかな考え方、青い空が好き。 |
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Q3.感動した/印象に残っている映画は? 『沈まぬ太陽』 |
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Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? ジョギング、ロードバイク、スノーボード |
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Q5.好きな言葉は? 独立独歩 |