耳鼻咽喉科学

風邪ウイルス

鼻の粘膜で増殖する、風邪ウイルスの謎に迫る


小笠原徳子先生

札幌医科大学 医学部 微生物学講座/耳鼻咽喉科 頭頸部外科学講座

出会いの一冊

美しい電子顕微鏡写真と構造図で見るウイルス図鑑101

マリリン・J・ルーシンク(創元社)

美しいウイルスの電子顕微鏡写真を眺めているだけで、不思議な気持ちになります。ウイルスは小さすぎで大抵目には見えませんが、これらの美しい写真を見ることで、世の中には無数のウイルスが常に存在しているということを忘れずにいられます。ぜひ写真を眺めて、お気に入りの形のウイルスを見つけて欲しいと思います。

こんな研究で世界を変えよう!

鼻の粘膜で増殖する、風邪ウイルスの謎に迫る

風邪の原因は空気中の微生物

ヒトは何故、風邪をひくのでしょうか? 皆さんも、のどが痛い、鼻水や咳が出たことが一度はあるでしょう。

私たちは常に鼻や口から空気を取り込んで肺に酸素を送って生きています。空気中に含まれることもある微生物は目に見えないほど小さな生き物ですが、空気や飛沫と共に吸い込まれた時に、私たちの生命活動に大きな影響を及ぼすこともあれば、及ぼさないこともあります。

ヒトだけに悪さするニューモウイルス

「風邪」という状態を引き起こす微生物の多くはウイルスです。その中でもニューモウイルスという仲間は、赤ちゃんやお年寄りなど免疫力が未熟なグループに「風邪」をもたらすことの多いウイルスです。

最近話題のコロナウイルスや昔から有名なインフルエンザウイルスと異なり、基本的には「ヒト」にしか風邪を引き起こさないと言われています。

風邪の症状や重さの違いはなぜ起こる?

ニューモウイルスは何故ヒトにしか流行らないのに絶滅せずに生き残っているのか? 咳や鼻水などが出る人と出ない人がいるのは何故か? ニューモウイルスによる感染が重くなる(肺にニューモウイルスが入り増殖する状態)のはどのような時で、それは一体どうしてか? といった素朴な疑問に答えを見つけることを目的に研究をしています。

そのために最初にニューモウイルスが感染して増殖する鼻の粘膜にはどのような細胞があるのか? ニューモウイルスを増やしやすい細胞や逆に増えにくくするような防御システムにはどういったものがあるのか? ということを研究しています。

ウイルスを培養するための細胞を撒くお皿を準備しているところです。
ウイルスを培養するための細胞を撒くお皿を準備しているところです。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

耳や鼻を診る医師になりましたが、中耳炎で耳を痛がって受診した時に鼓膜がとても腫れているのに切開しても膿が出ないようなお子さんがRSウイルスというニューモウイルスの一種の感染で多いという例を経験しました。このことからRSウイルスに興味を持ち、鼻の粘膜で特に増えることを見出したことがこのウイルスを研究するきっかけとなりました。

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「ヒトNALT新奇細胞群解析に基づいたニューモウイルス生活環の解明」

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もっと先生の研究・研究室を見てみよう
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 病院・医療

◆主な職種

(1) 医師・歯科医師

◆学んだことはどう生きる?

医学部という性質上、医師として働く傍らで研究を行う学生さんが多いです。しかしながら、研究テーマが学問に直結している方もいれば一見したところ学生時代のテーマとは別の臨床領域を専門にされる方も多いです。

その場合も、研究を行う過程で身につけた論理的思考や論文を読んで考察する力や自分で考えるという過程を経ることの大切さを活かしていると思います。

先生の学部・学科は?

倫理委員会という場所で複数の人に自分の実験計画を審査していただいて許可を得た後に、実際の医療現場で同意を得て得られる貴重なヒトの検体を使わせていただけることが大きな強みとなります。

微生物の中で、実際にヒトに病原性を引き起こした細菌やウイルスを集めて解析を行ったり、検査などを行った後に残った組織から細胞を培養して実際に微生物が感染した時にどのような反応が起きるのかを調べたりすることができます。

先生の研究に挑戦しよう!

ウイルスはそれ自身のみでは増殖できないというある意味不完全な生命体です。しかしながら、地球の歴史上では、古くから存在すると言われています。

ウイルスはどのようにして環境に適合して生き抜いてきているのでしょうか? コロナウイルスを例に、変異の移り変わりや宿主域(感染できる動物・昆虫など)について調べてみましょう。

中高生におすすめ

二十億光年の孤独

谷川俊太郎(集英社文庫)

高校時代に好きな詩人を持つことは、その後の人生を豊かにしてくれると信じています。


停電の夜に

ジュンパ・ラヒリ、訳:小川高義(新潮文庫)

異国に移住するということ、欧米以外の価値観とは、人を大事に思うということはどういうことか、ということを考えさせられます。


大聖堂

レイモンド・カーヴァー、訳:村上春樹(中央公論社)

アメリカの小説家、レイモンド・カーヴァーの短編集です。「ささやかだけれど、役にたつこと」という短編が私は好きです。 

一問一答
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は?

プログラミング

Q2.一番聴いている音楽アーティストは?

アーティストはマイリー・サイラス、アヴィーチー、デヴィット・ゲッタ、リタ・オラ。お気に入りの曲はアヴィーチーの『Lonely Together』 です。

Q3.大学時代の部活・サークルは?

軟式庭球部でしたが、もうラケットにボールが当たる気がしません。

Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは?

飲んだことのないビールを探して飲むこと 美味しそうな料理を作ること

Q5.好きな言葉は?

Love the life you live. Live the life you love.


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