ヒューマンインタフェース・インタラクション

ウェアラブルコンピュータ

疲れに合わせて機能する革新的ウェアラブルデバイス


大西鮎美先生

神戸大学 工学部 電気電子工学科

出会いの一冊

トコトンやさしい ウェアラブルの本

塚本昌彦(日刊工業新聞社)

ウェアラブルコンピューティング技術やその活用に興味をもった人に読んでもらいたいです。ウェアラブルデバイスの発展の歴史、ヘッドマウントディスプレイの情報提示の仕組み、ウェアラブルデバイスではどのような技術が使われているかや、ヘルスケアやスポーツ、エンタテインメントといった幅広い活用分野について、わかりやすく解説されています。

こんな研究で世界を変えよう!

疲れに合わせて機能する革新的ウェアラブルデバイス

ウェアラブルコンピュータで困りごとの解決

私は身につけて使う計算機であるウェアラブルコンピュータの研究をしています。

例えばメガネや靴、腕時計に人の状態を計測する機能や情報を提示できる機能が内蔵されて高機能になると、私たち自身の状態や周囲の状況をコンピュータが理解してそのときどきに応じた適切な支援を行い、私たちの生活を豊かにすることができます。情報技術を活用した私たちの身近な困りごとの解決が研究につながります。

人間の五感は疲労でも変化する

私は研究論文の締切の前、疲れているときに人の声が聞きにくくなる、というようなことを感じることがあります。それに着想を得て、私は疲労に応じて五感を拡張する装置を作れないかと考えました。

眼鏡や補聴器といった五感を拡張する装具は、人々の生活の質向上に不可欠なもので、近年では周辺の環境に応じて支援の度合を調整する装置が多くあります。しかし、人間の五感は日常的に疲労で変化する可能性があり、周辺状況と使用者本人の状態の両方を考慮したデバイスの設計が求められます。

生活の場面に合わせてその場面に応じた制御をするウェアラブルシステムは普及しつつあり、五感拡張に関しても今後増えていくと考えられます。しかし、常に少しずれた制御だと人間にとっては五感を常に調整し続ける状態が起こり、かえって不快に感じてしまうことや危ない場面が起こる可能性があります。

センシング技術で疲労を克服

人が疲れてきたときの五感の感覚特性が解明されれば、五感をセンシングしてそれに合わせて提供されるサービス全ての基礎的知見となります。この研究は、急速に高度化・複雑化が進むIoT機器によるセンシング技術を用いて、人間の疲労を克服する革新的技術の創出するものになる可能性があると考えています。

スマートシューズの開発の研究で展示会に出展
スマートシューズの開発の研究で展示会に出展
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

高校生のとき、何がやりたいのかまだ明確にはわかっていませんでしたが、電気電子工学の技術は応用範囲が広く、いろいろな分野に関わって働けるのではと考えました。

大学に入り、電気電子工学を学ぶうちに、ウェアラブルコンピューティング技術に興味をもち、もともと好きだったスポーツ系の趣味を生かした研究ができたら面白いかも、という理由で今の研究室に入りました。スマートシューズの研究や色々な分野の方との共同研究ができて、この分野に進んでよかったと思っています。

フィールドホッケー上達支援システムの評価実験
フィールドホッケー上達支援システムの評価実験
先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「疲労時五感の定式化と疲労時能力をAIで補正する五感拡張装置の開発」

詳しくはこちら

先生の分野を学ぶには
もっと先生の研究・研究室を見てみよう
研究活動が評価され、MIT Innovators Under35 JAPAN 2022に選出。特別賞「ISID賞」も受賞。
研究活動が評価され、MIT Innovators Under35 JAPAN 2022に選出。特別賞「ISID賞」も受賞。
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) コンピュータ、情報通信機器

(2) 半導体・電子部品・デバイス

(3) 大学・短大・高専等、教育機関・研究機関

◆主な職種

(1) 設計・開発

(2) システムエンジニア

(3) 大学等研究機関所属の教員・研究者

◆学んだことはどう生きる?

・電気メーカーで音楽系の特技を生かして音響機器を作ったり、色彩の知識を生かしてディスプレイを作ったりしている。
・ヘルスケア系のメーカーで、設計や開発をしている。
・起業してダンスパフォーマンスなどの電飾衣装を開発している。

研究室で学んだデバイスの設計と実装やデータ処理、といった専門知識が生きているのではないかと思います。

先生の学部・学科は?

電気電子工学科はモノづくりやエレクトロニクスの基礎知識を幅広く身につけられる点が強みだと思います。

物理、情報、エネルギー工学の分野の基礎を幅広く学んだあと、研究室に配属され、指導教員のもと卒業研究を進めます。研究が進めば、国際会議で発表する機会もあり、世界トップレベルの研究を行っている教授陣と研究を進めます。

このような研究のプロセスを通じて、問題解決の力を身につけ、ものがつくれる人になれます。モノづくりを通じて世界で活躍したい人におすすめです。

先生の研究に挑戦しよう!

・小型のマイクロコンピュータを使って、心拍がとれるセンサや動きがわかる加速度センサなどを制御して、人の動作や状態を認識し、認識した結果をディスプレイに提示したり、デバイス自体から音を鳴らしたり、といった方法で人に通知することで、人の生活を支援する。

そのとりたい動作や行動が今まで認識対象でなかったもので、とれるとこんな活用ができて価値がある、というものであれば研究になる可能性があります。例えば自分の趣味など、自分がその対象分野に詳しくて困っていることを、ウェアラブルコンピュータを使って解決できると面白い研究になる可能性があります。

中高生におすすめ

新しいヒューマンコンピュータインタラクションの教科書 基礎から実践まで

玉城絵美(講談社)

ヒューマンコンピュータインタラクションの基礎や実践に必要な知識を学べる本。

一問一答
Q1.感動した/印象に残っている映画は?

ハリーポッターシリーズ

Q2.学生時代に/最近、熱中したゲームは?

ドラゴンクエスト

Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

テニスコーチ

Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは?

週末の畑作業


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