わずか1mmの線虫がもつ独自の「環世界」
生物はそれぞれ違った世界を認識している
あなたは、今自分が認識している世界と、他の生物が認識している世界が違うことを知っていますか?
私たち人間は、主に視覚によって世界を認識していますが、例えばコウモリは超音波で空間を把握するので、きっと音に満ちた世界を認識しているのでしょう。犬は匂いに満ちた世界を認識しているかもしれません。
このように、すべての生物が同じ世界を認識しているのではなく、それぞれ各々の感覚器官を通して独自の世界を認識していると考えられます。ドイツの哲学者ユクスキュルはそれぞれの生物が認識する世界を「環世界」と呼びました。
光、音、匂い、味、熱もわかる線虫
私は、数ある生物のなかでも、線虫という生き物の「環世界」を理解することを目指しています。なぜ線虫なのか。
まず、皆さんは線虫という生き物を知っていますか。線虫は地球上で最も繁栄している生物群のひとつで、土壌、深海、生物体内まで、至る所に生息しています。体長1mmほどしかありませんが、光、音、匂い、味、熱など、さまざまな環境刺激を受容することができ、ちゃんと脳にあたる器官も備えています。
私が興味をもっているのは、特に植物に寄生する線虫(植物寄生性線虫といいます)で、この生き物は他の線虫にはない独自の感覚系を進化させていることがわかっています。
害虫の環世界を逆手に取った防除法を
植物寄生性線虫はどういった「環世界」を持っているのだろう。なぜ独自の環世界を進化させたのだろう。そのような謎に答えるべく、日々研究を行っています。
植物寄生性線虫は農業・林業分野で大変重要な害虫ですが、植物寄生性線虫が認識しているユニークな環世界が理解できれば、それを逆手に取った防除法の開発にも繋がっていくと考えています。
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? ベルギー。ワッフルとビールがおいしかった! |
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Q2.一番聴いている音楽アーティストは? BUMP OF CHICKEN / Beautiful glider |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? バレーボール |
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Q4.好きな言葉は? 死ぬのは決まっているのだから、ほがらかにやっていこう。いつかは終わるのだから、全力で向かっていこう。 |