電力は涙の糖分から。血糖値を測るコンタクトレンズの開発
技術革新を身近なものに
「あなたがこの世で見たいと願う変化に、あなた自身がなりなさい。」というマハトマ・ガンジーの有名な言葉があります。私は、スマートフォンに代表される情報通信技術における劇的な技術革新をより人間生活にとって身近なものへと展開したいという思いで研究を行っています。
ヒトからエネルギーを得て健康を支えるコンピュータ
近年注目を集めているキーワードとしてIoT(モノのインターネット)がありますが、歴史を辿るとコンピュータはより小型になり、より分散した形になっています。その小型化・分散化を可能にしたのがコンピュータ全体、特に集積回路技術のエネルギー効率の向上です。
生命体がその生命活動に要するエネルギーには劇的な変化はないため、コンピュータが進化すればするほど私たちの生活を豊かにする可能性を秘めています。
私はその究極の形として、ヒトからエネルギーをもらって、ヒトの健康を支えるコンピュータを実現したいと考えています。その過程で、人工物と生命体における「電気の使い方」の知恵比べにおける解に少しでも近づきたいです。
外部電源不要を実現
現時点において、人工知能機能を有する電力自立の持続血糖モニタリングスマートコンタクトレンズの基盤技術の確立に成功しています。スマートフォン内に使われている低消費電力技術を活用することで、涙液中に含まれる糖分からの電力で駆動する電力自立動作ならびに血糖値モニタリングを実現しています。現在、社会実装に向けた技術開発を進めています。
→先生のフィールド[社会情報基盤]ではこんな研究テーマも動いている!◆テーマとこう出会った
祖母が糖尿病を患っており、また母が管理栄養士として糖尿病の栄養指導をしていて、持続血糖モニタリングの社会的なニーズを知りました。
「スマートフォンがこれだけ進化しているのに、なぜ持続血糖モニタリングには情報通信技術のようなイノベーションが起きていないのか」という疑問が湧き、できてないのだから自分自身でやってみようとの思いからスタートしました。
◆大学時代
学部1年の時に講義で『電子立国日本の自叙伝』を見て、半導体集積回路に興味を持ちました。自分自身も集積回路の研究開発のプレイヤーになってみたいとの思いで、今の研究に携わっています。