神経生理学・神経科学一般

睡眠

なぜ眠るのかを、マウス実験で明らかに


常松友美先生

東北大学 生命科学研究科 脳生命統御科学専攻/学際科学フロンティア研究所

先生のフィールドはこの本から

睡眠の科学 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか

櫻井武(ブルーバックス)

覚醒状態を維持し、安定させるのに重要な神経ペプチド「オレキシン」を発見した、睡眠研究の第一人者である櫻井武先生が執筆。睡眠のメカニズムについて豊富な知識をもとに幅広く書かれており、睡眠に興味のある人には入門書としてオススメです。本当に睡眠や夢の機能って何なのかわかってないんだ!ということも実感でき、知的好奇心をくすぐられると思います。

世界を変える研究はこれ!

なぜ眠るのかを、マウス実験で明らかに

謎の多い「睡眠」、だったら私が研究しよう

皆さんは毎日何時間くらい眠っていますか。例えば、1日8時間寝るとすると、人生の3分の1を眠って過ごすことになります。テスト勉強で徹夜した次の日、頭がぼーっとして集中できない!なんて経験をしたことがあると思います。このように睡眠は生活に必須の本能行動のひとつであるにも関わらず、なぜ眠るのか、なぜ夢を見るのか、睡眠の意義は何かといったことは、驚くべきことに、未だに解明されていません。

私は子供の頃からとにかく眠ること、そして奇想天外な夢を見ることが大好きでした。なぜ夢を見るのだろうと疑問に思って調べてみたのですが、答えを見つけることができませんでした。それなら、自分が研究すればいいじゃん!と思い、睡眠研究者を志しました。

睡眠と覚醒では脳の神経活動が変化

現在は、実験動物であるマウスを使って、睡眠状態と覚醒状態は脳内でどのように調節されているのか、また睡眠の意義を明らかにするために研究を進めています。

睡眠と覚醒を繰り返すマウスの脳から、リアルタイムで神経活動を電気的に記録したり、細胞内イオン濃度の変化を光で計測したりすると、睡眠・覚醒でその挙動がダイナミックに変化することを見つけてきました。また、近年開発された技術を使って、神経活動を自在に操作することで、マウスを寝かせたり起こしたりすることができるようになっています。この方法を用いて、睡眠と覚醒を調節する脳内回路を明らかにしてきています。

マウスは夢をみるのか

今後は、マウスを用いてどのように夢を見ているのか、さらに夢を見る理由について研究を進めていきたいと考えています。マウスでの夢の研究は未開の分野です。なぜならマウスは夢を見たかどうかを私たちに教えてくれませんから。マウスが夢を見ているかどうかを証明することが、まずは第一歩となります。

私の睡眠研究は自身の興味、知的好奇心に答えるためのものですが、眠っている世界を理解することで、睡眠の質を向上させ、ひいては生活の質やパフォーマンスを向上させるなど、起きている世界を変えうる研究となるのかもしれません。

顕微鏡の前で研究員とディスカッション中

先生のフィールド[光操作] 平成30年度採択課題ではこんな研究テーマも動いている!
きっかけ&学生時代

◆テーマとこう出会った

NHKで放映された『驚異の小宇宙 人体II 脳と心』という番組を、9歳の時に見て驚愕しました。自分のすべてをコントロールしているのは、どうも「脳」という臓器らしい。動きも、感情も、思考も、何もかも!と。

その時に、私は脳の研究者になるんだと心に誓いました。さて、一口に「脳」といってもいろいろな機能があるようだけど、ふと、寝るのが好きで夢を見るのが大好きだから、睡眠の研究者になろう!と決意し、今に至ります。

進学した筑波大学には、当時睡眠研究を飛躍的に進展させるきっかけとなった神経ペプチド「オレキシン」を発見された櫻井武先生が所属されており、迷うことなく、睡眠の研究をスタートさせました。

◆高校時代

小中高の10年間、飛込というスポーツをしていました。毎年インターハイや国体に出場していたので、春夏は飛込、秋冬は勉強と文武両道の学生生活を送っていました。平日に合宿があることも多かったので、友人に出られなかった授業のノートを借りたりしていたことも、今となっては懐かしいです。飛込で培った集中力と舞台度胸、イメージトレーニング能力が今でもとても役に立っています。意外と研究には必要な能力なんです。

◆出身高校

鳥取県立米子東高校

先生の分野を学ぶには
常松友美先生 の研究・研究室を見てみよう
中高生におススメ

竜馬がゆく

司馬遼太郎(文春文庫)

多くの日本人を魅了する幕末の風雲児坂本竜馬を主人公とする長編時代小説。大いなる夢と限りない好奇心を持ちつづけて偉業をなしとげた竜馬ですが、その背景には、自分を信じ続けたこと、常識にとらわれない柔軟な発想力、そして何より人との出会いを大切にし自分の糧とした、その人生が緻密かつ躍動感を持って書かれています。研究者としてだけでなく、私の人生のバイブルです。


科学雑誌「Newton」

(ニュートンプレス)

科学に興味のある方はぜひ毎月読んでもらいたいです。本を読むタイプではなくても、イラストも豊富で視覚的にも楽しめます。毎月読んでいると、「これだ!」という研究との運命の出会いもあるかもしれません。


まーちゃんくどぅーのハロプロ先輩探訪団

佐藤優樹、工藤遥(竹書房)

モーニング娘。で、私の推しの佐藤優樹さん(まーちゃん)が同期の工藤遥さん(くどぅー)と一緒に、先輩にインタビューに行きます。アイドルとしては心配になるくらい破天荒、天真爛漫なまーちゃんですが、そんなまーちゃんを見ていると、自分の考えがいかに常識に縛られているかを実感させられます。また、物事の本質を捉える能力の高さに尊敬すら覚えます。これらは実は研究者に必要な能力だと思います。直接まーちゃんにうちの研究室に来ないか誘ってみましたが、「行かなぁーい!」と一蹴されてしまいました。


先生に一問一答
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?

もう一度、筑波大学第二学群生物学類に入ると思います。

Q2.一番聴いている音楽アーティストは?

モーニング娘。(20年間ずっと神推し) 最近は『人生Blues』がお気に入り。 

Q3.感動した映画は?印象に残っている映画は?

『天空の城ラピュタ』

Q4.大学時代の部活・サークルは?

筑波大学宿舎祭(やどかり祭)実行委員

Q5.研究以外で楽しいことは?

モーニング娘。のおっかけ


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