壊れにくいエアロゲルを作り、材料としての可能性を拡げた!
液体が一瞬で固体に
中高生の時は化学が特に好きというわけではありませんでしたが、なんとなく「実際に役に立ちそうな学問だな」と思って大学では化学を学ぶことにしました。
大学3回生の時の学生実験で、溶液からゲルを作る「ゾル−ゲル法」の実験があったのですが、ついさっきまで液体だったものが瞬く間に固体になることに魅了されて、現在も溶液からいろいろなゲルを作る研究をしています。
シリコーンで作ることに成功
このようなゲルを作るプロセスを用いると、多孔体を作ることができます。中でも、密度がとても低く、90%以上が細孔でできている「エアロゲル」は、多孔体なのに透明で熱伝導率が低いという変わった特徴があります。しかし脆くて壊れやすいので、実用化が難しい材料でした。
エアロゲルは一般に、シリカ(SiO2)組成で作られていましたが、私たちはこれをシリコーン組成で作ることに成功しました。皆さんも柔軟なシリコーンゴムを知っていると思いますが、これを使ってエアロゲルを作ると、変形しても壊れにくい材料になることがわかりました。透明で柔らかくて軽い多孔体は高性能の断熱材として使用できる可能性があります。
大学を超えた研究仲間と未来材料を研究
現在は大学に所属している一方で、JSTの研究プログラム「さきがけ」の未来材料というグループに加えていただき、多くの研究仲間と一緒に世界を変えることのできる材料を研究しています。X(@miraimaterial)でも情報発信しているので、覗いてみてくださいね。
正直に言って私は、中高生時代にやっていた勉強は形式的なものとしか捉えることができなくて、その先に深遠な専門分野があることをあまり意識していませんでした。上にも書きましたが、「なんとなく役に立ちそう」、「なんとなく面白そう」という感覚で進んできました。いまも研究(仕事)の原動力になっているのは、「これが作れたら面白いんじゃないか?」という感覚的なものです。
◆主な業種
(1) セラミクス、ガラス、炭素
(2) 化学/化粧品・繊維・衣料/化学工業製品・石油製品
(3) 大学・短大・高専等、教育機関・研究機関
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
(2) 大学等研究機関所属の教員・研究者
◆学んだことはどう生きる?
中国からの留学生ですが、現在は上海で化学メーカーに勤めている卒業生がいます。英語と日本語を駆使して、持ち前の行動力を活かし仕事に遊びに飛び回っている彼を見ていると、専門性も大事だけど行動力や遊び心も大事だなと思わされます。
身近にもゲルはたくさんあります。食品のお豆腐やゼリー、ところてんなどは代表的なものです。「つかめる水」という玩具も流行しました。このようなものがどんな物質からできていて、どうやって作られるのか、調べてみましょう。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 趣味にも関係しますが、海やその生態系について勉強してみたいです。 |
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Q2.大学時代の部活・サークルは? 中学生の時から硬式テニスをやっていました。練習嫌いであまり上手くはなりませんでしたが。地道な努力はやっぱり大事ですね・・・。 |
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Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 単発ですが、時代劇(忠臣蔵)のエキストラをやったことがあります。カツラに頭皮が引っ張られ、草履もペラペラでしんどかったです。 |
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Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 釣り! 海に行ってルアーを投げる。仕事のことを忘れられる貴重な時間です。 |