知覚情報処理

センサ

センサデータと深層学習で人の行動を推定


豊浦正広先生

山梨大学 工学部 工学科 コンピュータ理工学コース(総合研究部 工学域)

出会いの一冊

すぐに使える!業務で実践できる! PythonによるAI・機械学習・深層学習アプリのつくり方

クジラ飛行机、杉山陽一、遠藤俊輔(ソシム)

深層学習の概要を見るのによい本です。サンプルプログラムもついていますので、実際に動かしてみることもできます。

目次を見るだけでも雰囲気をつかんでもらえるかと思います。深層学習をするのに年齢制限はありませんので、高校生でも深層学習にどんなことができるのかを試してみてください!

こんな研究で世界を変えよう!

センサデータと深層学習で人の行動を推定

ウェアラブルウォッチはセンサと解析で実現

みなさんはウェアラブルウォッチをお使いになったことがあるでしょうか?

私はランニングが趣味(速くはありません)なのですが、走った経路や標高、時間帯ごとの速さ、心拍数などが、走る途中の時計の画面にも表示され、単に苦しく走るだけではない、新しい価値を提供してくれます。

加速度計やGPSなどのセンサと、深層学習などの解析によって、このような機能が実現されています。

ドアの揺れ方から、誰が開けたか推定

研究室では、センサデータと深層学習で人の行動を推定する研究をしています。

たとえば、ドアの揺れ方は、誰が開けたか、内側から開けたか・外側から開けたか、どんなドアを開けたかで変わるのですが、ドアに加速度計を取り付けてデータを解析することによって、この3つをそれぞれ認識することが実現できてきています。

人の行動を推定するためには、カメラで撮影した映像を解析するのが一般的で、研究室でもこれまでにカメラを使って教室内の学生の行動を認識するような研究を行ってきました。確かにこれだと人の行動は推定できるのですが、プライバシーの問題が起こってしまいます。

プライバシーにも配慮

深層学習の急激な発展によって、世界中で人のプライバシーを侵害するようなカメラや情報技術の使い方を制限するような法律が作られてきています。

センサを使ったような、人に拒否感を与えにくい仕組みをデザインすることで、プライバシー保護が問題となりやすい、教育・医療・家庭・オフィスなどのそれぞれの場面で使い続けられるような仕組みを目指しています。

ランニング途中のウェアラブルウォッチと、走り終わった後に走った様子が確認できる画面
ランニング途中のウェアラブルウォッチと、走り終わった後に走った様子が確認できる画面
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

小学生の頃にはファミコンでドラゴンクエストやファイナルファンタジーに熱中していました。大学でも情報学科を選び、画像処理の研究室に入りました。

最近では深層学習の登場によってできることが増え、ぱっと見ただけでは理解できないセンサのデータからいろいろなことがわかる認識の問題を面白く感じるようになり、画像処理から離れた研究を始めました。

ドアの揺れ方を計測して誰が開けたかを認識する
ドアの揺れ方を計測して誰が開けたかを認識する
先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「匿名センシングデータの人・モノ・動作の特性への因子分解」

詳しくはこちら

先生の分野を学ぶには
もっと先生の研究・研究室を見てみよう
映像からの教室内の人の行動解析
映像からの教室内の人の行動解析
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) コンピュータ、情報通信機器

(2) 電気機械・機器(重電系は除く)

(3) ソフトウエア、情報システム開発

◆主な職種

(1) 設計・開発

(2) システムエンジニア

◆学んだことはどう生きる?

先生の学部・学科は?

山梨大学の工学部では、医学部や生命環境学部(自然科学)と連携して研究をすることがよくあります。他の大学よりも出口を見据えた応用研究が多い印象があります。地元企業と連携した織物設計やメロン栽培のための研究にも携わってきました。

先生の研究に挑戦しよう!

ウェアラブルウォッチで得られる自分の生活データを眺めてみて、”勉強をしている”時間帯だけを抜き出すことを考えてみましょう。生活データがどんな特徴を示すときに、勉強している時間帯だったと判定できるでしょうか。

中高生におすすめ

ジャンヌ・ダルク

監督:リュック・ベッソン

史実を基に、神の啓示に従ってフランス軍を勝利に導いたとされるジャンヌ・ダルクの生涯を描いた物語です。自分を信じて突き進むジャンヌ・ダルクに、周囲が惹かれて従っていく姿に、現代でも通じる理想のリーダー像を感じます。一方で、自分の行動の結果に葛藤するところには、本当は心細い主人公と自分との共通点が見えて、むしろ励まされます。見終わったときに多くのモヤモヤは残るものの、自分の在り方を強く考えさせられる名作です。


マンガで学ぶ理科系の留学英語術

Anthony T. Tu 、石田まき(化学同人)

留学に必要な書類や生活の始め方などがマンガで描かれています。留学したいと思った博士課程のときに購入して、研究のモチベーションのために本棚においてありました。書類の形式など少し情報が古いかもしれませんが、研究留学の雰囲気は伝わると思います。海外で研究してみたいと思っている人におすすめできる1冊です。


Garmin Japan (YouTube)

ランニングやラグビー、登山、ゴルフ、ダイビング、ヘルスケアのためのウェアラブルウォッチの製品紹介がまとめられています。加速度や心拍計、GPSなどのセンサと機械学習によって、個別の目的に合わせたデータの解析ができることを感じてもらえます。

[webサイトへ]

一問一答
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は?

深層学習

Q2.学生時代に/最近、熱中したゲームは?

XI JUMBO (サイコロを転がして消すパズルゲーム)

Q3.大学時代の部活・サークルは?

弓道部

Q4.好きな言葉は?

批評家になるな、いつも批判される側にいろ。(伊東善太郎、脳外科医)


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