イミテーション・ゲーム / エニグマと天才数学者の秘密
監督:モルテン・ティルドゥム
コンピュータを使うだけでなく、その歴史や動作原理、コンピュータ自身にぜひとも興味を持って欲しいです。
現代のコンピュータの祖となるENIACやEDSACが約80年前に登場してから、コンピュータは劇的な進化を遂げて我々の生活の必需品となりました。私が専門としているオペレーティングシステムを始めコンピュータの動作部分に関わる分野は今も盛んに研究が行われていて、コンピュータはまだまだ発展の余地だらけです。次世代のコンピュータを生み出すのはみなさんです。
オススメした「イミテーション・ゲーム / エニグマと天才数学者の秘密」はコンピュータの父と言われているアラン・チューニングの人生を描いたドラマです。なにがきっかけでもよいので、コンピュータ自身に興味を持ってくれる人が増えるととても嬉しいです。
不具合が起きても継続動作できるOSで、コンピュータの障害がない世界へ
世の中で最も複雑なプログラム
オペレーティングシステム(OS)という単語は耳にしたことがあると思います。
OSは平たく言うと「プログラムを動作させるためのプログラム」で、いわばコンピュータの中枢であり、世の中で最も複雑なプログラムと言っても過言ではありません。
OSを24時間安定稼働させるには
"OSをいかに安定稼働させるか?"というのが私の研究テーマです。
OSの不具合はその上で稼働しているアプリケーション全てに異常をきたすため、アプリケーションの不具合とはわけが違います。
何かコンピュータが変になったら再起動という回復方法が簡単で一番てっとり速い(おそらくみなさんもやったことがあると思います)のですが、Webサービスや自動運転といった、24時間常に稼働が求められるコンピュータではそうはいきません。
OS研究は専門知識と職人技で
今取り組んでいる研究は、不具合が生じた際にそれを回復して継続動作できるOSを実現することです。
ネットワークの攻撃やハードウェアの故障などOSの安定稼働を阻む障害は、OSの構成要素へのダメージと捉えることができます。研究室の成果を使えば、ダメージを受けた構成要素を特定してそこの部分のみを修復し、他の正常稼働している部分と再度つなぎ合わせることで継続動作ができます。
コンピュータの障害が起きない世界をOSの立場から目指しています。
コンピュータグラフィックスや機械学習のような見た目の派手さはありませんが、OSの研究は多くの専門知識と職人的な技や想像力がものを言い、毎日ワクワクしながら研究を進めています。
小さい頃(今でも)からテレビゲームが好きで、いつも夢中でやっていました。高校生のときにはゲームを作る職に就きたいと漠然と思いながら、プログラミングを深く勉強できる情報工学科を選びました。大学で勉強していくうちに「OSっていうソフトウェアがどうやらコンピュータの全てを制御しているぞ。ここを自分が思うように作れば何でもありじゃん!」と思い、OSに強く魅了されました。4年生のときにもOSを研究している研究室に所属し、あれよあれよとOSを専門とする大学教員になっていました。
Q1.学生時代に/最近、熱中したゲームは? マリオカート8 デラックス。学園祭でも優勝しました! |
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Q2.好きな言葉は? Imagination is more important than knowledge. Knowledge is limited. Imagination encircles the world. |