アンモニア合成で食糧・エネルギー問題を解決する
肥料だけでなく石油代替燃料でも注目
私はアンモニアを効率的に合成する手法について研究しています。アンモニアは必須栄養素の人工肥料として世界中で合成されています。更にエネルギー密度が高いため、石油代替燃料としても注目を集め、再生可能エネルギーを利用して合成する研究が盛んに行われています。
絶対的かつ圧倒的な価値を追求
私がこの研究を志したのは20歳くらいでした。人それぞれ価値観を持ち、物事の価値は相対的で揺らぐものだと理解しつつも、できるなら絶対的に価値のあることをしたいと考えていました。そして多くの人に影響のあることをしたいと思っていました。
例えば医療で難病を治す薬の開発は、その病気の患者にとって重要であり、絶対的に価値があると言えます。その一方で、その患者がほんの一握りしかいない場合、影響は限定的でやりがいは感じにくいと考えました。絶対的であり、かつ圧倒的な数の人々に価値のあることをしたい、というのが当時の考えです。
エネルギー、肥料、水を生み出すプロセスを作る
そうしたとき、食糧や水はどの人間にとっても絶対的に価値があり、かつ飢餓に苦しむ人は今も圧倒的に多いと言えます。かと言って、それに直接アプローチするには経済的な困難がつきまといます。
ならば、効率的にアンモニアを合成し、石油代替燃料として利益を稼ぎつつ、その副産物として安価に肥料のアンモニアや水が生産できれば、多くの人にその絶対的な価値を提供できるのではないか、と考えたのが今の道にいる理由です。引退するまで自分にとって価値のあり続けるものになるだろうと見込んで、今もこの研究を進めています。
文理融合の専攻で、エネルギー問題を解決するための横断的な研究ができるという特徴があります。文系理系が総合的にエネルギー問題の解決に取り組んでおり、非常にバラエティに富んだ研究室が揃っているので、多くの分野について精通することができます。