ナノの光が引き起こす化学反応を解明、次は制御へ
進んでいない可視光線の有効利用
人類が抱えているエネルギー問題や環境問題の解決には、クリーンで再生可能な自然エネルギーである太陽光の有効利用が必要不可欠です。
太陽光はエネルギーの高い順に、紫外線、可視光線、赤外線に分けられます。紫外線は太陽光発電にも使われているものの、太陽光に占める割合は6%程度しかありません。
一方、可視光線は太陽光の約半分を占めますが、可視光線を有効利用する技術はまだまだ研究段階のものが多くあります。
可視光線を金属の表面に効率よく集める現象
私は大学生の時、光の有効利用を可能にする技術に興味を持ち、大学院生の時に今の研究につながる「局在表面プラズモン共鳴」という現象に出会いました。
金や銀などの貴金属は、1メートルの10億分の1(ナノメートル)のサイズになると鮮やかに発色します。これは、局在プラズモン共鳴現象によるものです。
さらに、この現象は可視光線を金属の表面近くの非常に狭いナノメートルサイズの領域に効率よく集めることができ、集めた光を利用するための研究が世界中で進められています。
世界初・一分子の反応の観察に成功
私はプラズモンによって極微小の領域に集めたナノの光が起こす化学反応に関する研究を展開しています。
反応を自在にコントロールするには、反応メカニズムを深く理解することが必須です。このため、特殊な顕微鏡を用いて反応の観察に挑戦し、世界で初めてプラズモンによる一つの分子の反応を直接観察することに成功し、メカニズムを解明しました。
現在はさらなる謎の解明に加え、反応のコントロールにも挑戦しています。
→先生のフィールド[反応制御] 平成 30 年度採択課題ではこんな研究テーマも動いている!