生命とは何か 物理的に見た生細胞
シュレーディンガー(岩波文庫)
生命体、生命現象とは何かを物理学の観点から解釈しようとする試み。とりわけ分子と遺伝子の大きさの関係や、突然変異の確率などを数理的に結びつけるところは大変興味深く、理系を志向する幅広い人におすすめです。
従来の触媒研究に新しい手法をハイブリッド、大幅省エネへ
1+1が10にもなる相乗効果
「インターメタリック反応場」や「プロトニクス」と聞くと、何やら訳のわからないもののように聞こえるでしょうか。インターメタリック反応場というのは一言でいえば「合金」を使った触媒のことです。またプロトニクスというのは電流を使ってプロトン(水素イオン)を動かして反応させたい分子に衝突させようというものです。
どちらも化学反応をうまくコントロールし、狙い通りの方向に効率よく進めるためのものですが、私の研究ではそれらを掛け合わせることで、1+1が5にも10にもなるような、通常では考えられない驚くべき相乗効果を生み出そうとしています。
私は合金の触媒の研究を数年行ってきましたが、自身の研究に対して「何か大きな変革を起こせないか」と日頃から考えていました。そこで今回、プロトニクスというユニークな手法に着目し、これらをハイブリッドさせることを考え付いたわけです。
600度から200度へ 劇的低温化
この研究が成功すれば、これまで600℃以上の高い温度や数十気圧という高い圧力が必要であった化学反応(例えばプロパンをプロピレンに変換する反応や二酸化炭素からメタノールを合成する反応など)が、200℃程度の温度や常圧の条件下で進行できるようになります。
高温や高圧を実現するためには膨大なエネルギーが必要になるため、それらの条件を必要とする化学反応において劇的な低温化や低圧化が達成されれば、大幅な省エネルギー化が可能となり、化学工業やモノづくりに革新を起こすことができます。
→先生のフィールド[反応制御]令和元年度採択課題ではこんな研究テーマも動いている!◆テーマとこう出会った
出身大学で酸化物の触媒の研究をして博士号を取得した後、助教として着任した別の大学の研究室で合金の触媒の研究に出会いました。当時の教授がされていた研究です。合金は様々な金属を混ぜ合わせて作りますが、対象となる元素は周期表上に何十種類もあり、混ぜる元素数や比率などを含めれば可能な組み合わせは無数にあります。
このように、「様々な元素を扱える」、「組み合わせが膨大にある」という点が大変魅力的でこの研究のとりこになり、それ以来新しい構造や機能の創出を目指して日々研究を続けています。この研究をしていると、周期表上のほとんどの元素の名前や配置は自然と覚えられます。
◆中学時代は
塩酸を作ってみたくて、台所にあるものと理科の教科書の知識を総動員して挑戦しました。まずシャープペンシルの芯(電極)と乾電池を使って食塩水を電気分解し、H2とCl2を発生させます。ビニール袋に入れたこれらを日光に半日さらし、光反応でHClを合成し、それを水に溶解させるというものでした。
HClができたかどうか、水に溶けたかは判断できませんでしたが(おそらくできなかったでしょう)、電気分解自体はうまくいき、とても興奮したのを覚えています。
◆出身高校は?
大阪府立三国丘高校
「触媒・資源化学プロセス」が 学べる大学・研究者はこちら (※みらいぶっくへ)
「17.化学・化学工学」の「71.化学工学、プロセス工学」
学問のすゝめ
福沢諭吉(岩波文庫)
人はなぜ学ばなければならないのか。個人の教養だけでなく社会的な意味など、学びの意義を多角的に知ることができる歴史的名著。その内容は今日においても色あせていません。これから大学等で高い学識を身につけようとする人に、ぜひ読んでほしいと思います。
触媒ってなぁに?(ウェブサイト)
触媒が人々の生活・暮らしの中でどのように役立っているか、いかに身近にあるものなのかがよくわかるコンテンツです。これからの社会で触媒のどのような機能が求められ、最前線ではどのような触媒が開発されているかなども紹介されており、幅広い視聴者層に向けてわかりやすく解説されています。
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Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ? 今と変わらず、化学。 |
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Q2.一番聴いている音楽アーティストは? ショパン。『夜想曲第2番』が好きです。 |
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Q3.熱中したゲームは? テニスゲーム『パワースマッシュ』。大学浪人中に熱中し、攻略HPまで作りました。 |
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Q4.大学時代の部活・サークルは? 硬式テニス |
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Q5.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? テニスのインストラクター |