◆着想のきっかけは何ですか
2010年頃、世界中の津波研究者が悩んでいた未解決問題の中に、太平洋を横断するような遠地からの津波の到着時刻が、予想よりも遅れるということがありました。そこで私は、津波研究者が思いもよらない予想理論を提唱しました。
私は、津波が地球を揺らしながら伝搬するという新たな津波理論を構築し、観測された津波の遅延を説明しました。また、理論に基づく波形予測の手法を開発しました。その予測波形は、観測された津波波形と一致するなど、理論の卓越した予測能力を示しました。
◆どんな困難がありましたか
遠地の津波予測には、これまで津波の波形記録があるにはあったのですが、到達時刻が説明できないなど、様々な理由で利用されてきませんでした。しかし、私の開発した波形予測の手法では、この手つかずであった波形記録を活用できます。これを用いることで、遠地津波の到着時刻の予測精度が著しく改善しました。
また、過去の巨大地震により発生した津波波形記録の解析から、これまで良くわからなかった、環太平洋地域で繰り返される海溝型の巨大地震が起こる仕組みの一端が、明らかになりつつあります。
◆その研究が進むと何が良いのでしょうか
例えば、人類が計測した過去最大の地震…1960年にチリ地震で発生した津波は、ほぼ1日かけて日本沿岸に到達し、国内死者139名の被害を出しました。しかし、地震発生時の断層運動は、主に陸域の測量データと地震データのみで決められました。
当時の津波波形の記録を活用し、我々が開発した波形予測手法を用いることで、この巨大地震時にどのような断層運動が起きたのか、詳しく解明できました。
これ以外にも、様々な巨大地震に残された津波波形の記録から、それぞれ地震時の断層運動が解明されつつあります。
近くの地震に限らず、遠くの地震、火山噴火、海底地滑りで発生した津波がやってくることを想定して、日頃から対策を立てておこう。
米国の大学院で地震の研究をしていた1992年、カリフォルニア州の砂漠の真ん中でM7.3の地震が発生しました。日本から来た地震研究者と一緒に砂漠に出かけると、まっすぐな道が電柱と一緒に数メートル横にずれていることが、遠目にも判りました。砂漠の大地に、どこまでも続く断層が地表に現れていました。断層は横ずれだけでなく縦ずれもあり、断層を境に地面が擦れながら動いた様子が、腰の辺りまで隆起した断層面に、斜行する多くの筋状の痕跡として残っていたのです。
それは、世界各地で観測された、地震波の解析から推定された断層運動とよく一致していました。地震波の解析だけから断層運動がわかることに感激しました。
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◆「地球科学と津波防災:遠地津波の遅れと初動反転の原因解明」 (地震調査研究推進本部事務局)
◆「遠地津波の到達はなぜ予想時刻から遅れるのか?」 (東京大学地震研究所ニュースレターPlus)
津波記録から地震を解析する研究をしています。
◆主な業種
・電気・ガス・水道・熱器供給業
・商社・卸・輸入
・大学・短大・高専等、教育機関・研究機関
・官庁、自治体、公的法人、国際機関等
◆主な職種
・基礎・応用研究・先行開発
・技術系企画・調査、コンサルタント
・調達、物流、資材・商品管理
◆学んだことはどう生きる?
原発の津波被害予測のため、原発の周囲で地震断層調査を行ったり、想定地震時の津波浸水予測を行っています。
宇宙や地球で観測され未だ理解できない現象の多くは、実験室での再現が困難です。そのような未知の現象に遭遇した時、私たちは自然に対する想像力と、人類が蓄積してきた知恵を総動員して、その現象を理解しようとします。
多くの場合は、新たな知恵の蓄積で済みますが、時には、最終的に到達した理解が既存の知恵の蓄積を打ち壊し、我々人類に新たな知恵の構築を要請することもあります。それが、宇宙や地球を研究する醍醐味だと思います。
「過去の自然災害災を学ぶ」
国土地理院の地図はネットでみることができます。地図記号に「自然災害伝承碑」が2019年に加わりました。現在全国に1105あります。近くの自然災害伝承碑を実際に訪れ、碑文から読み取れることや碑が建てられた由来を調べてみよう。
さらに学習を進化させ、住んでいる地域では、過去どのような自然災害が発生し、現在社会はどのように想定される災害に備えているか、まとまてみよう。
Q1.感動した映画は?印象に残っている映画は? 『火垂るの墓』。映画館の後も涙が止まらなかった。 |
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Q2.大学時代の部活・サークルは? 自転車部。日本や海外も自転車で回った。 |
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Q3.会ってみたい有名人は? 藤井聡太 |