◆どのような研究ですか
例えばイモリはしっぽを切られても、また生えてきます。これを、再生能力と呼びます。ヒトの心臓はこれまで、自分で再生しないと言われてきました。しかし私は心臓内から、幹細胞を世界で初めて発見しました。幹細胞とは、分裂して自分と同じ細胞を作ったり、別の種類の細胞に分化したりして、増殖することが可能な細胞なのです。
この幹細胞を使って、損傷を受けた心臓組織の修復が期待できます。世界中の心臓の再生医療の礎を作ったことになります。
◆どんなことを成し遂げましたか
心臓の再生医療の対象となる疾患は、1つには先天性の心臓奇形を持った子どもさんです。また、日本で最も心臓移植の対象となる、拡張型心筋症疾患も対象になります。拡張型心筋症とは、心臓の筋力が弱くなり全身へ血液を送り出せず、心不全に至る病気です。
治療法は、患者さん本人の心臓の中に存在する幹細胞を取り出して、心臓の細胞を大量に増やします。その後、本人の心臓の中に移植することで治療します。
すでに3つの臨床研究によって、子どもの心不全疾患に対し、この心臓の再生医療が安全で、治療に効果があることが確認されました。
◆その研究が進むと何が良いのでしょう
従来の保険医療では治せない重篤な心不全疾患に対して、心臓の臓器提供を受けなくても、患者本人の細胞を使って、再生医療として治療することができます。
医学は常に進歩している学問であり、診断法や治療薬がない病気で苦しんでいる患者さんに対して、臨床医や基礎研究者がその壁を突破しようと挑戦しています。
しかしながら、新しい治療法の開発には10〜20年と長い月日を要します。1つの有効な治療法がない病気についても、数百人の基礎研究者が10年単位で基盤技術を作り出し、それらを素早く医療化していく、持続可能な産業化の連携体制が必要です。
医学部卒業後3年目。初めてアメリカの国際学会で口述発表した際の衝撃は、凄まじいものでした。世界トップの循環器内科医は、日常的な臨床医療をしながら、常に次の新しい医療法に繋がる臨床研究や基礎研究を日々積み重ねており、日本の一般病院勤務とは全く異なる生活スタイルでした。
当然自分も、数多くの治せない重症疾患に日々遭遇していました。これらの臨床経験を生かして、一旦基礎研究に立ち帰り、治療方法がない病気をどうしたら治せるようになるかと、基礎研究と臨床実用化を同時に目指すようになりました。
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「12.医療・健康」の「46.医学(心臓、血液、消化器、呼吸器、整形外科等)」
心臓の中に存在する幹細胞を用いた心臓再生医療の臨床実用化を礎に、細胞を用いない全く新しい再生医療法の開発を行っています。
◆主な業種
・大学・短大・高専等、教育機関・研究機関
◆主な職種
・医師
◆学んだことはどう生きる?
通常の臨床保険医療では治せない重篤な心不全疾患に対して、心臓再生医療を応用することで、患者さんに対して、これまでにない治療改善効果をもたらした。
重症度が高い心不全疾患は、心臓移植が最後の砦となりますが、我が国の特性から臓器提供者不足が深刻で、臓器提供までの待機中に死亡することや、高額な医療費を支払い、海外に渡って心臓移植を受ける患者さんが多くおられます。
心臓再生医療は、このような現状を打破できる革新的な治療法です。一般保険医療化することで、社会に広く普及させることができ、新たな医療法の産業化にも深く繋がっています。
・人体は細胞で構成されています。研究室にて様々な細胞を自分で培養してみて、日々詳細に観察することやいろんな刺激因子を加えてみて、どのように変化するのかなど経験されると良いでしょう。
・AIは間違いなく次の世代にとって重要な研究開発を主導するツールとなります。AIの仕組み、プログラムや活用法など、世界から発信されている情報や実際の使用例など、事前調査することで、将来自分はどのように一般生活や仕事に活用できるか考えてみることも大変役に立つと思います。
Q1.一番聴いている音楽アーティストは? ジャズ一般 |
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Q2.熱中したゲームは? ガーデニング、ハイキング |
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Q3.会ってみたい有名人は? ビル・ゲイツ |