地球宇宙化学

小惑星イトカワのサンプル

小惑星のかけらが隕石と同じものと実証し、地球外生命体の謎解明へ前進


圦本尚義先生

北海道大学 理学部 地球惑星科学科(理学院 自然史科学専攻)

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隕石を分析するためにクリーンルームの中で加工処理をしているところ


◆研究のきっかけは何ですか

私は惑星探査機「はやぶさ」によって採取された微粒子を、いち早く実験室内で化学分析しました。この研究は、その記念すべき最初の報告です。

それまで小惑星のかけらは、地球に落下してきた隕石と関連するだろうと推定されていました。しかし、確かな証拠はありませんでした。ただ、宇宙から地球に降り注ぐ地球外物質の多くは、酸素の重さに違いがあることが知られていました。この酸素の重さに着目することにより、小惑星と隕石とを関係づける証拠を見つけました。

◆何がわかりましたか

小惑星イトカワから持ち帰ってきた地球外サンプルを詳しく調べた結果、地球に降ってくる隕石の中で、最もたくさん見つかっている種類と同じであることがわかりました。さらに、小惑星が太陽の周りを公転している時、太陽の放射線が小惑星のかけらの表面に当たり、かけらの性質を変化させたことも、新たにわかりました。

◆その研究が進むと何が良いのでしょうか

小惑星はどこから生まれたのか、その起源を太陽系の起源や進化の歴史に位置づけられるようになります。特に、地球のように生命が存在する惑星が、宇宙の中からどのように生まれてきたのかがわかり、宇宙の中に生命を発見する道筋をつけることができるようになるでしょう。

どこで学べる?
もっと先生の研究・研究室を見てみよう

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隕石にどういう種類の物質がどういうふうに入っているのかを電子顕微鏡で観察しているところ

学生はどんな研究を?

太陽系・惑星・地球の起源と進化について研究しています。

学生はどんなところに就職?

◆主な業種

・大学・短大・高専等、教育機関・研究機関

◆主な職種

・大学等研究機関所属の教員・研究者

◆学んだことはどう生きる? 

天然物はできた結果しかわからず、どのようにして今見ている姿になったのかを完全に知ることは、永遠にわかりません。しかし、それを実験室で丁寧に分析し、様々な分析結果を組み合わせることで、科学的に正しいでき方を構築できます。この手法と考え方を応用することは、どの職業においても、業務を遂行するための基本となる大事なことです。

先生からひとこと

宇宙はロマンがあり、科学好きな若い方が皆憧れる分野だと思います。その分野に一生関わることは、あなたが思っているほど狭い門ではありません。産業部門にも、道は大きく広がっています。理学部に行けば就職がないという間違った噂に惑わされず、自分の好きな道に進んでください。

先生の研究に挑戦しよう!

河原に行ってかがみ込んでみましょう。石ころを拾い集め、その姿形を観察して、分類してみましょう。何種類の分類ができましたか。また、分類した石ころがそれぞれどの地点からやってきたのか特定する方法をたくさん考えてみましょう。

中高生におすすめ

F1地上の夢

海老沢泰久(朝日文芸文庫)

ホンダは、日本のエンジンがヨーロッパ車より大きく劣っていた1964年から1968年までの5年間、F1に参戦。そして1983年、エンジンを供給する形でF1への復帰を果たし、1986年でワールドチャンピオンになった。本書は、そんなホンダのレーシングチームの軌跡を描いたノンフィクション。技術開発に情熱を傾けるとはどういうことかがわかる。


先生に一問一答
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?

惑星科学

Q2.一番聴いている音楽アーティストは?

James Bay、Andrea Bocelli、上原ひろみ、あいみょん。皆、飛行機の中で知って…。

Q3.大学時代の部活・サークルは?

天文研究会、写真部


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