◆研究のきっかけは何ですか
肝細胞がんは、全世界の患者数は7位、死亡者数は3位です。日本の年間の死亡者数は、3万人弱です。肝細胞がんの約5割は、C型慢性肝炎ウイルスの持続感染により引き起こされる、C型慢性肝炎が原因です。日本のC型肝炎ウイルス感染者数は、最近減少したものの40万人程度とも推定され、社会的にもその対策が急務となっています。
しかし、これまでC型慢性肝炎から肝細胞がんを発症する仕組みは、十分に解明されていません。私は、遺伝的な要因を明らかにすれば発症メカニズムが解明され、診断・治療へ応用できる可能性もあると考え、この研究を行うことにしました。
◆どんなことがわかりましたか
ヒトの体の全ゲノム配列には、ところどころに個人差があります。そんな配列の違いが、ヒトという生物集団の中で1%以上認められるケースがあります。私は、日本人のC型慢性肝炎患者集団に、肝細胞がんになりやすい特定の個人差があるかどうか、詳しく調べました。
その結果、ある遺伝子配列に関する特定の個人差が、肝細胞がんの発症と関連していることを発見しました。さらにこの配列があると、肝細胞がん発症リスクが約2倍に高まることを、世界で初めて明らかにしました。
◆その研究が進むと何が良いのでしょう
肝細胞がん発症リスクに関わる遺伝子配列の個人差が明らかになれば、その配列を調べることで、将来の肝細胞がん発症リスクの予測に役立ちます。また、C型慢性肝炎からがんの発症に進行するまで、どの遺伝子が関連するか把握できれば、その遺伝子を標的として、治療薬や予防薬の開発に役立つ可能性があります。
肝疾患に関する研究によって、例えば、B型肝炎ウイルスの完全な排除を目指すことなど治療法を開発することで、健康的な生活の確保に貢献したい。
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Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ? 理学部で天体を学びたい。ブラックホールの謎を解明したい。 |
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