第2回 なるべく小さなハンドル操作で障害物を避けるには ~ハンドル操作と車両の動きの関係を知ろう
このクルマのポイントは、目一杯ハンドルを切ってできるだけ安全に避けるという方法ではなく、障害物をギリギリで避けるにはどうしたらよいか、ということになります。これは実は、なるべく小さなハンドル操作で障害物を避けるにはどうしたらよいか、ということと同じになります。
これを考えるには、まず「クルマはどういうふうに動くのか」ということがある程度わかっていないといけないので、ここからは車両の動き方について説明をします。
クルマのハンドルを一定の角度傾けて走り続けると、車両が描く軌跡はどんな図形になるでしょうか。免許を持っていない人でも「どんどん曲がっていくだろうな」というのは想像できますよね。ハンドルを切って、ずっと切りっぱなしでそのまま走り続けると、車両は円を描いて旋回します。「ハンドルを切ったら、クルマは円を描いて旋回する」ということを覚えておいてください。
じゃあハンドルをどういうふうに切ればいいかというと、ハンドルを右に切ると右に旋回します。ただ、そのまま切っていると、壁にぶつかってしまうので、どこかでクルマをまっすぐに戻さないといけません。
ということで、どこかで左向きにハンドルを戻すのですが、左にハンドルを切ったままだと、また円軌道を描くことになるので、こんなふうに円弧、あるいは二つの円を組み合わせて、軌道を考えていけばいい、ということが想像できると思います。二つ円を描いてそれをくっつければ、理想的な軌道となります。
もう一つ大事なのは、ハンドルを切る量です。ハンドルを大きく切る場合と小さく切る場合では、どういう違いが出てくるでしょうか。
これも想像するのはそれほど難しくないと思いますが、ハンドルを大きく切ると旋回する円の半径が小さくなります。逆に、あまり切らないと、あまり曲がらずにほとんどまっすぐに走っていきます。ですので、先ほど述べた「できるだけ少ないハンドル操作」というのは、言い換えると、できるだけ大きな旋回半径、できるだけ大きな軌道を描いて旋回する、ということになります。