日本語教育

コーディネーター

学校や地域で、日本語教育を支えるコーディネーターとは


御舘久里恵先生

鳥取大学 教育支援・国際交流推進機構 国際交流センター

出会いの一冊

まんが クラスメイトは外国人 入門編 はじめて学ぶ多文化共生

みなみななみ(明石書店)

日本に住む外国人が直面する「壁」として、「制度の壁」「言葉の壁」「心の壁」の3つが挙げられます。この本では、日本の学校にいる外国にルーツを持つ子どもたちがぶつかる様々な「壁」を、まんがでわかりやすく紹介しています。

このまんがに登場する子どもたちが抱える問題は本人たちの問題ではなく、受け入れる日本社会の側にあるということがわかってもらえるのではないかと思います。この子たちに自分がどのように寄り添えるのか、身近な多文化共生に向けて考えるきっかけになればと思います。同じシリーズの『まんが クラスメイトは外国人 多文化共生20の物語』もおすすめです。

こんな研究で世界を変えよう!

学校や地域で、日本語教育を支えるコーディネーターとは

在日外国人には適切な日本語学習の機会が重要

皆さんは日本にいる「外国人」と聞くと、観光客を思い浮かべるかもしれません。しかし日本には、仕事や結婚、留学などで、地域社会に長く暮らす外国出身者がたくさんいます。皆さんの学校にも、外国にルーツのある人がいるかもしれません。

そのような人たちが日本で心豊かに生活するためには、適切な日本語学習の機会を確保することがとても重要です。私は、日本に暮らすすべての人がその人らしく生活し、豊かな人間関係を築けるような日本語教育のあり方について研究を続けてきました。

日本語教育の環境づくりをするコーディネーター

現在実施している研究のテーマは、「大学・日本語学校・地域における日本語教育コーディネーターの実践知の形成」です。日本語教育では、ひとつのクラスを複数の先生が担当する「ティームティーチング」が行われることが多いのです。

その場合、日本語教育全体のプログラムを立てて、先生たちや他の関係者と連携していく「コーディネーター」の役割がとても重要になってきます。まさに「日本語教育の環境づくり」をする人たちです。

コーディネーターの資質を明らかに

この研究では、日本語教育コーディネーターの仕事の様子を観察・記録し、これまでの経験をインタビューでお聞きすることによって、日本語教育コーディネーターに必要な資質・能力・態度とはどのようなものかを明らかにしたいと思っています。

そして、その結果を、これから日本語教育に携わりたいと思っている人たちを養成するときに取り入れていきたいと考えています。

地域に住む外国人と日本人との交流会で,自己紹介ゲームの説明をしています。
地域に住む外国人と日本人との交流会で,自己紹介ゲームの説明をしています。
SDGsに貢献! 〜2030年の地球のために

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その社会で一般的に使われている言語が自分の母語ではないというだけで、その社会で不利益をこうむってしまう人がいるのは、決して平等な社会とは言えません。日本語教育にはまず、日本に住む日本語を母語としない人が安心・安全に暮らすための日本語能力を保障するという役割があります。

一方で、日本語を母語とする多数派の人たちが「やさしい日本語」でコミュニケーションができるようになるなど、多文化社会に適した日本語コミュニケーション力をすべての人に身につけてもらうことも日本語教育の役割だと考えています。私の研究がそういった日本語教育の環境整備と人材育成に役立てられることを目指しています。

先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

「大学・日本語学校・地域における日本語教育コーディネーターの実践知の形成」

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日本語教員養成の授業で,学生が実際に留学生の前で教育実習をします。
日本語教員養成の授業で,学生が実際に留学生の前で教育実習をします。
中高生におすすめ

ライ麦畑でつかまえて

J.D.サリンジャー、訳:野崎孝(白水Uブックス)

主人公と同じ10代の頃にぜひ読んでほしい一冊です。主人公にものすごく共感できる人と、こんなヤツ大嫌いと思う人に分かれると思います。ちなみに私は中学生の時に読んだ時は本を投げつけたいほどむかつきましたが、20代後半にもう一度読んでみた時には全然違う印象を持ちました。自分の心のあり方を映す鏡のような本だと思います。村上春樹さんの翻訳もありますが、野崎さんの翻訳のほうをお勧めします。


茨木のり子詩集

編:谷川俊太郎 (岩波文庫)

詩人の名前は教科書で目にしたことがあるかもしれません。爽やかな風が吹くような詩、背筋がピンとなるような詩、くすっと笑えるような詩、はっとさせられる詩、心の内をふり返ることができる詩など様々です。お気に入りの詩を見つけてみてください。


金子みすゞ名詩集

金子みすゞ(彩図社)

「私と小鳥と鈴と」や「こだまでしょうか」などの詩は知っているかもしれませんね。子ども向けに書かれた童謡なのでとても平易なことばを使っていますが、どれも真理を突いていて、あたたかい気持ちになるとともに、はっとさせられます。


先生に一問一答
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?

高校生の時、日本語教師になるか弁護士になるかで迷っていたので、法学部に入って学んでみたいです。実際に弁護士になれるかわかりませんが…。

Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 

出身地も現在住んでいるところも寒いところなので、東南アジアのどこか暖かい国がいいです。食べ物もおいしそうなので。 

Q3.感動した映画は?印象に残っている映画は?

『ライフ・イズ・ビューティフル』

Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

 大型スーパーのゲームコーナーでのアルバイト。クレーンゲームのぬいぐるみを、いかに取れそうに見えて取れないところに置くかを工夫していました(笑)。

Q5.研究以外で楽しいことは?

2019年に引越しをして以来、収納術にはまっています。


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