気候変動が社会経済にどのような影響を与えるかを分析
経済活動を考慮しない既存の気候モデル
私たちが生活する社会(社会経済システム)と自然環境は、相互に密接に関連しています。
気候変動(地球温暖化)問題で言うと、人間の経済活動により二酸化炭素が排出され、気温などの気候システムが影響を受けますが、その反対に気候システムの変化(気温の上昇など)により人間の活動も影響を受けます。
気候変動問題やその対策が社会経済にどのような影響を及ぼすのかを解明する研究では、様々な「モデル」(コンピュータ・シミュレーション)を用います。
ところが、これまでの研究では、上で説明したような社会経済システムと気候システムの相互作用があまり考えられずに分析が行われてきました。
温暖化すれば社会の生産性が低下する
しかし、相互作用を考えることは重要です。例えば、温暖化すると労働者の生産性が低下しますし、冷房をたくさん使うようになってエネルギー消費量も増えます。農地などの生産性も影響を受けます。
そして、このような影響は社会経済に広く伝播し、結果的に気候システムに及ぼす影響も変化します。
気候変動と社会経済、相互作用をモデル化
私の研究では、社会経済と気候の両システムの相互作用を考慮したモデルを構築し、気候変動影響やその対策が社会経済に及ぼす(特に将来の)影響を評価することを試みています。
気候変動問題は現代社会にとって最も重要な環境問題の1つであるだけでなく、最も重要な社会問題の1つです。私の研究を通じて、気候変動問題の解決に少しでもつながれば良いなと思い、研究活動に取り組んでいます。
私の研究では、気候変動問題の影響や対策の分析をしており、気候変動による社会経済活動への影響や、気候変動緩和策を実施することによる経済的影響などを明らかにできます。直接的にSDGsの13「気候変動に具体的な対策を」に貢献する研究です。
また、気候変動問題の解決には再生可能エネルギーの利用が不可欠であることから、SDG7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」も必然的に関係します。
「社会経済・気候システムの相互作用を考慮した多様な気候変動シナリオの評価」
◆講義「環境経済学」では
専門知識を教えますが、それだけでは不十分であるため、時事ネタとしてその時に起きている環境問題や環境政策に関わるニュース記事を学生に紹介し、講義と現実問題をつなげられるようにしています。◆主な業種
(1) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等
(2) 一般機械・機器、産業機械(工作機械・建設機械等)等
(3) 金融・保険・証券・ファイナンシャル
◆主な職種
(1) 一般・営業事務
(2) 営業、営業企画、事業統括
(3) システムエンジニア
◆学んだことはどう生きる?
研究室所属学生は、環境問題・環境政策に関する自由なテーマで研究を行っています。社会科学系(文系)ということもあり、研究テーマに直接関係する職業に就く学生はほとんどいません。しかし、研究の中で身につけるスキル(MS Excel、統計ソフト)はどのような仕事に就こうと、社会に出てから役立つスキルだと思います。
東洋大学経済学部総合政策学科は、経済学部にありながら幅広い社会経済問題について考え、政策立案などを学ぶことができる学科です。この学科で学ぶことで、さまざまな経済問題を技術、社会、文化、政治、環境やメディアなどの問題と絡めて考えるなど、社会経済を幅広い視点で捉えることができるようになります。私が専門とする環境分野だけでなく、労働、医療、情報、など幅広い分野の教員が集まっています。
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? イギリス(雰囲気が好きな国で、英語圏だから) |
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Q2.研究以外で楽しいことは? サイクリング(ロードバイク) |