マリーゴールド溢れるネパール。宗教文化が景観を作る
民俗学と植物学から景観を紐解く
私たちは旅先で何を見て、何を感じますか?きっと、見たこともない風景や、文化に驚き、その「地域らしさ」を感じることでしょう。この「地域らしさ」は、自然や文化、歴史、景観など多くの要素と関係しています。
グローバル化が急速に進み、失われつつある「地域らしさ」、とりわけ個性ある「景観」に興味を持ち、私は民族植物学(民族学と植物学を合わせた文理融合の学問領域) 的アプローチからネパールでの地域固有の景観の成り立ちについて研究しています。初めて目にする景観の創造を紐解くことは、いつも宝探しと謎解きに似た面白さを与えてくれます。
宗教と一体の生活。毎日、神々に花を捧げる
研究対象としたネパールの人々は、日本では考えられないほど宗教と一体となった生活を送り、彼らは毎日、神々に祈りと共に沢山の植物を捧げます。この地を訪れた時、町には大量のマリーゴールドの花が飾られ、鮮やかなオレンジ色に溢れていました。
神に捧げるこの花の需要は非常に高く、多くの商店で販売され、家々でも栽培します。さらに雑草のように至る所で生育し、マリーゴールドのある景観がネパールらしさを感じさせます。これは、独自の宗教文化を背景とした人々の植物利用の結果出来上がったものなのです。
豊かな生活のために
しかし、マリーゴールドはネパールには自生しない外来植物のため、文化の維持と自然環境の保全は時に相反する関係をもたらします。その共生は困難ですが、私たちの豊かな人間生活のためにはこの両方が必要なのです。
「伝統的文化を背景とした植物利用が地域性の形成と地域環境に与える影響に関する研究」
◆緑地環境学研究室(ゼミ)や、講義「緑地環境論」「地域生態環境論」では
緑地環境学を理解してもらうため、最初は専門的書籍を読むよりも、屋上緑化やカフェの室内緑化、街路樹など身近なフィールドでの「緑」を見に出かけるように進めています。緑(植物) と生活環境への関心と問題意識を持ってもらいます。
◆主な業種
(1)食品・食料品・飲料品/タバコ・飼料・肥料
(2)官庁、自治体、公的法人、国際機関等
(3)小・中学校、高等学校、専修学校・各種学校等