森林から放出され空に浮かぶ微生物たちが雲を生む
雲は微生物が核になってできる
雲ができるには、空気中に水分が増えるだけでなく、その水分を集める粒(核)が必要になります。特に、氷粒でできている雲は、大気中を浮遊している微生物が核になって形成されると言われています。
そこで、生物の活性が高い森林から微生物が空高くへ放出されている可能性が高く、その微生物が雲を作るのに役立っているのではないかと考えました。
森林上空の大気からキノコやカビ粒子を発見
実際に、ヘリコプターを使って森林上空の大気の粒子を採取して、顕微鏡で観察すると、微生物由来の細胞が観られました。さらに、その粒子の遺伝子を解読してやると、キノコやカビの一種であることがわかりました。
森林に生息するキノコやカビなどの微生物が、胞子を放出し、上空まで舞い上がっていたのです。こうした微生物を分離培養してやると、氷の粒を作る氷核活性という能力を、他の微生物より強く持っていることがわかりました。
浮遊微生物が気候変動に関わっているかも
森林に生息する微生物は、雲の形成に欠かせず、もしかすると局所的な大雨や気候変動に関わっているのかもしれません。土や水の中の微生物を調べる研究者は沢山いますが、大気の微生物が本格的に研究されるようになったのは、この10年くらいです。
ですから、大気を浮遊する微生物の謎や役割がどんどん明らかになっていき、もしかすると空の上に微生物たちの生態系(ユートピア)が見つかるのでないかと期待しています。
新型コロナウィルスの感染で社会混乱が生じていますが、さらにグローバル化が進むと、新興地(特に人口の多い土地)において新たな感染症が生じ、世界規模で拡散する可能性が高く、現在と同様な事態が頻発化すると予想されます。
その中には、感染菌が風によって大陸間で運ばれる場合もあり得ます。こうした事態を想定した公衆衛生情報の開示や感染への対策を講じることに、大気浮遊微生物の研究は役立つかもしれません。
◆先生が心がけていることは?
無駄に物を消費しない。ゴミを作らない。エントロピー低めに生きる。
「森林バイオエアロゾルを標的とした高高度大気観測:風送拡散とその気候影響の評価」
吉永郁生
公立鳥取環境大学 環境学部 環境学科/環境経営研究科 環境学専攻
水圏中の窒素化合物を分解し、窒素分子へと変換する微生物に関わる研究をしています。非常にパワフルな先生です。難しい専門的な話でも、重要な要素を選別し、わかりやすく説明してくれます。困るとよく助けていただきました。
◆主な業種
(1)食品系
(2)化学系 (化粧品)
(3)機械系
◆主な職種
(1)総合職
(2)研究職
(3)企画・営業
◆学んだことはどう生きる?
食品、化粧品、化学薬品、金属、機械などに関する企業に就職し、総合職,研究職や営業職などで活躍しています。研究内容そのものを継続した仕事を生業にしている学生はほとんどいませんが、分子生物学や生化学、化学の知識と実験スキルをしっかりと身につけて卒業されるので、幅広い職種で活躍されています。
近畿大学 理工学部 生命科学科では、生命かかかわる現象を、多様な学問分野(生物、化学、物理)の視点から学び、卒業研究や修論研究に活かして最先端の研究に取り組みます。また、学部一年生から実験実習が充実しているため、実験スキルの修得はもとより、実験計画の立案や実験結果への考察などで和気藹々と学生同士で議論し、コミュニケーション能力が磨かれます。卒業する頃には活気あふれる技術者になっており、修士修了に至ると覇気のある研究者になっています。
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? モンゴルのウランバートルです。乾燥しているので朝晩気持ちよく過ごせて、手頃な価格でおいしい料理が食べられます。 |
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Q2.一番聴いている音楽アーティストは? 松山千春。『長い夜』が好きです。 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? 「京大支部 燃える男会!」で、東洋拳法をやっていました。 |
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Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 旅館のアルバイトで、布団の片付けをしました。 |
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Q5.研究以外で楽しいことは? 最近やってみたいことですが、1960年代の雰囲気が残る町を散策して、そこで読書がしたいです。 |