小学生に「英語で何ができるか」を体感させる英語の授業と評価
単語や文法を覚えた中学時代の英語学習
私が中学生の時は、英語の学習といえば、小テストや定期試験でスペルミスをせずに英単語が書けるよう、たくさん英単語を書いて覚えることだったり、実力テストで良い点を取るために、少し難解な文法問題をいくつもこなすことだったりしました。
当時は、普段の生活の中でも英語を使う機会がほとんどなく、英語の学習は、学校の教科の一つにすぎませんでした。放課後は、剣道部に入っていたので、総体に向けて、毎日、ゴリゴリの練習三昧でした。
外国人に英語が通じた
そんなある日、日本の文化・教育体験の一環で、外国から剣道部に体験入部してきた人がいました。今の時代は「グローバル化」という名の下、そうした交流は頻繁に行われていますが、当時は「国際化」という言葉が使われ始めた頃で、とても珍しいことでした。
30年以上も前のことなので、どこの国から来られた人だったのか忘れてしまいましたが、その方がそのゴリゴリの練習の後で、何かを訴えていることに気づきました。
喉を抑えたジェスチャーをされていたので、もしかしてと思って、その日の英語の試験の答えだった「You want something to drink!」(不定詞の試験でした)と言ってみたら、その通りだといわんばかりに、ハグされて、そのまま水場へ連れていかれました。
二人で水を飲み終えた後に、英語ができるじゃないかと励まされ、ちょっと照れ臭く感じたのを今でも鮮明に覚えています。
コミュニケーション手段としての英語
「ことば」としての英語の役割について、それまでは一切感じることはなかったのですが、その経験をきっかけに、英語学習に対する意識が大きく変わりました。
確かに、テストで良い点を取ることも大切なのですが、それは「英語」という言語のほんの一面にすぎず、コミュニケーションの手段としての役割にもっと目を向けなければいけないと思うようになりました。
それからは年に数回程度でしたが、学校に来てくれるALTの先生に、授業で習った表現を使って積極的に話しかけるようにしました。
「英語でできること」を評価する
令和2年の4月から、小学校で正式に外国語科(小学英語)が開始されました。教科としての英語です。
「教科」ということをあえて強調しますが、それは、評価があるからです。すなわち「テスト」があるわけで、どうしても学習の先にテストの存在がちらつきます。
これまでのような紙面のテストで、単語や文法問題が多く出題されるようになってしまうと、ことばとしての英語の言語の役割や魅力が子どもたちに伝わらないのではないかと思い、コミュニケーションの手段としての本来の役割が意識できるような評価方法の研究・開発に取り組もうと思ったのです。
具体的には、「英語でできること」の項目をたくさん集めたルーブリックという評価表を作成し、実際に英語でできること、すなわち、専門的な用語になりますが、どんなパフォーマンスができるのか、を評価するようにしています。
英語で自分が何をすることができるのか、そうしたことが小学生の頃から体感できるようになれば、楽しさを感じながら長く英語を学んでいけるようになるのではないかと思って研究・開発に励んでいます。
「小学校英語でのルーブリックによる英語のパフォーマンス評価に関する基礎的研究」