教科教育学

ESD

持続可能な社会実現のために、教育で人々の行動を変える


藤原一弘先生

愛媛大学 教育学部 教育臨床講座(教育学研究科 教育実践高度化専攻)

出会いの一冊

2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望

落合陽一(SBクリエイティブ)

SDGsは高校の課題研究等でも、最近よく取り上げられていると思うので、馴染みが深いと思います。また企業や自治体も積極的に貢献しようとしています。しかし、SDGsに取り組んでいると考えている取組の多くが、SDGsの17の目標のどれに当てはまるかばかりに意識が向いており、形骸化され始めていることに、ものすごく違和感と不安を覚えます。

SDGsは何のためにあるのでしょうか。私たちの「行動変容」にどう生きてくるのでしょうか。そんなことを考えるきっかけとして、良い本だと思います。地図などが豊富で分かりやすく構成されているので、世界の現状などを多角的に概観しながら、自分の関心事と結び付けてほしいと思います。

こんな研究で世界を変えよう!

持続可能な社会実現のために、教育で人々の行動を変える

人は自分の行動を変えて成長する

皆さんが今、頑張っていることは何ですか。勉強や部活動、趣味・特技で良い結果を出すために努力しているかもしれません。それはすごく大切で、人は自己の目的や目標の達成に向けて、「行動を変えて」成長していくものだと考えます。

自分を変えれば、未来を変えるきっかけに

一方で、皆さんは、身の周りや社会を変えるために何か行動していますか。すぐには思いつかないかもしれません。しかし、自分が変わることが自分以外の周りの人々のためになり、変えるきっかけにつながっていると感じることができれば、その喜びは何百倍にもなるような気がします。

大人はよく「これから不透明で不確実な時代がやってくる。だから、未来を生きる子どもたちは、その中でも生き抜くための資質・能力をつけることが必要だ。」と言います。しかし、その時代はもうすでに訪れています。

「今」変えないと、少し先の未来すらない

それは、現在世界中で感染が広がっている新型コロナウィルス関連で起きていることからも明らかです。だとすれば、大人・子どもに関係なく「今」変わらないと、少し先の未来すらありません。最近「行動変容」という言葉をよく聞きますが、今の変容は強制的に行われているものです。人は強制されないと行動を変容させられないのでしょうか。

私は「『持続可能な社会』を創るために、どうすれば人々は意識や行動を変えるのか」という問いに対し「教育や学び」がどのように貢献し得るのかということに関心があり、研究テーマにしています。また研究を推進するために、「ESDラボ」を設立して追究を始めています。

※ESD= Education for Sustainable Development(持続可能な開発のための教育)

ゼミの報告会の様子です。昨年度の写真にはなりますが、今の4回生の写真です。他の教科ゼミとの合同で発表会を行いました。ここに写っている全員が今年度教採に合格しています。
ゼミの報告会の様子です。昨年度の写真にはなりますが、今の4回生の写真です。他の教科ゼミとの合同で発表会を行いました。ここに写っている全員が今年度教採に合格しています。
SDGsに貢献! 〜2030年の地球のために

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SDGsはゴールではなく、目指すべき方向性です。2030年に地球が終わるわけではありません。SDGsの多くは、2030年までに解決できないかもしれませんし、また新たな問題が出てきていることでしょう。「教育」は、その可能性を問い続け、行動を起こせる「人」を育てる分野です。そして、SDGsを推進するためには、「ESD」がその中心となっていることは世界中の多くの国々で認識されています。

しかし、日本では「ESD」があまり認知されておらず、十分に浸透していません。教育の在り方を見直し、質の高い学びの場を創り出すために、また、学校と社会のつながりを持たせるためのプラットフォームとなる組織を目指して、「ESDラボ」を立ち上げました。 

先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

「認識と行動の変容を促す深い学びを創造する『ESDラボ』の実証的研究」

詳しくはこちら

注目の研究者や研究の大学へ行こう!
どこで学べる?
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◆ゼミや研究室では

「総合的な学習の時間の指導法」「教育の課程と方法」など教職科目の講義や授業づくり、単元開発に関する研修や実証的な研究を行っているほか、大学と地域、学校現場をつなぐプラットフォーム的機能を有した活動組織として「愛大・ESDラボ」の活動を行っています。

私の研究室には「学校の先生になりたい!」という強い思いを持っている学生が多く集まります。私自身のこれまでの現場経験を生かして、学級経営や子どもとのかかわり方、授業づくりの楽しさなどについて指導するだけでなく、学生同士が議論したり活動したりすることを通して、教育について自分の考えを深めるきっかけを創ってもらえるようにしています。そして、実際に学校訪問や授業を見たりすることを大切にし、教師の面白さややりがいを自分で感じてもらうように心がけています。

もっと先生の研究・研究室を見てみよう
ゼミ活動の一環で、奈良女子大学附属小学校を訪問した時の様子です。県内外に関わらず、貴重な実践をされている学校訪問をし、協議を行い、自己を磨くことを大切にしています。これも昨年度です。
ゼミ活動の一環で、奈良女子大学附属小学校を訪問した時の様子です。県内外に関わらず、貴重な実践をされている学校訪問をし、協議を行い、自己を磨くことを大切にしています。これも昨年度です。
先輩にはこんな人がいる ~就職

◆主な仕事

(1) 小・中学校、高校の教員

(2) 幼稚園教諭・保育士

先生の学部・学科は?

愛媛大学教育学部は、教員養成を軸とした学部です。地域に貢献できる人材を育てることが使命でもあります。学校のあり方が大きく変わろうとしている現在、目指すべき教員像を、豊富な実習や多様な授業で学んでいきます。

中高生におすすめ

ひろしま(映画)

関川秀雄(監督)

原爆投下前後の実像を、きちんと残しておこうとする姿勢が見られる作品だと思います。主義や主張は抜きにして、高校生くらいで一度見ておくと良いと感じます。


先生に一問一答
Q1.一番聴いている音楽アーティストは?

サザンオールスターズ。特に『ロックンロール・スーパーマン』が好きです。

Q2.熱中したゲームは?

『ドラゴンクエスト3』

Q3.大学時代の部活・サークルは?

神戸大学体育会・準硬式野球部

Q4.会ってみたい有名人は?

大泉洋


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