3Dプリンターで作るあなただけの衣服
機能性素材やウェアラブルセンサーへと進化
衣服は人を環境から守り、人格を表現し、生活を豊かにしてきました。
衣服分野の研究は目覚しく進展しており、機能性素材など数々の新繊維素材が生まれ、スマートテキスタイルの開発により衣服は生体情報を把握できるウェアラブルセンサーへと進化しています。また三次元で衣服をデザインし、縫製することなく3Dプリンターで衣服を作る時代に入っています。
私はこうした技術を活用して、誰もが簡単に自身の着用目的に合った快適な衣服を設計し作ることのできるシステムを開発したいと考えています。
障がい者や高齢者向けの衣服は発展途上
不可能と思われてきた、千差万別の体型と趣味嗜好の人々が満足できる衣服を設計するためには、多くの未知の情報を捉える必要があります。
たとえば、形状が把握できていないため、障碍者や特定の部位が発達したアスリートに合う既製服は未だ存在しませんし、車椅子利用者の座った状態でのお尻がどのような形状になっているのか、この高度情報化社会にあっても、それを捉える計測器さえ存在しません。
また超高齢社会を形成している日本ですが、高齢者が着るだけで笑顔になるような、快適で素敵な衣服の開発を積極的に手がけている企業も、ほとんどありません。
家庭の3Dプリンターで作れる日がくる
今ないものを作る、できないことを可能にする、それが私の研究の原点です。様々な人々の困り事を捉え、解決することで新たな世界が開けてきます。今着たい衣服を自身でデザインし、家庭の三次元プリンターで作ることができる日も遠くはないかもしれません。
私が目指す個別対応衣服設計システムが開発されれば、障碍者(障がい者)を含む、あらゆる人の体形や動作に適合する衣服をデザインすることができます。そしてその衣服にスマートテキスタイルの技術を埋め込むことができたなら、心拍数や血圧などの生体情報や位置情報を把握できるツールともなります。お洒落で体形にフィットし、着用者の日常に寄り添う衣服を作ることができれば、すべての人の健康と福祉につながります。
「アパレルの国際市場拡大に向けたユニバーサルな個別対応衣服設計システムの構築」
自身で発想し、研究プロセスを設計して問題を解決する力、自身の言葉で的確に物事を伝える力を培うことを目指しています。ゼミでは活発な質疑を通し、他者の研究を理解し、質問し、答える力を身につけていきます。
◆主な業種
(1)その他の材料・製品
(2)商社・卸・輸入
(3)小・中学校、高等学校、専修学校・各種学校等
◆主な職種
(1)品質管理・評価
(2)商品企画、マーケティング(調査)
(3)中学校・高校教員など
◆学んだことはどう生きる?
本学を卒業後、イギリスのセントマーティン大学、同大学院を経て、セリーヌのデザイナーなどを歴任している卒業生がいます。彼女は“動作時に快適な衣服の設計”をテーマに卒論に取り組み、シニアファッションショーで超軽量素材“軽密”を用いて7通りに変形できるドレスをデザインし、好評を博しました。その卒論とドレスを手にセントマーティンの面接に臨んだようです。しっかりとした研究視点と柔らかな発想は、世界に通用すると誇らしく思っています。
本学は家政学の発祥の地であり、創立当初より科学的な視点から人間生活の質の向上を目指した教育研究を行ってきました。この点において洋裁や和裁からスタートした他の女子大学の被服学科とは一線を画しています。自然科学(工学・デザイン)、人文科学(歴史・芸術)、社会科学(法学・経済学)の視点から、被服に焦点を当て総合的に学ぶことができるため、学生たちは自身の興味分野の学びと研究に、生き生きと取り組んでいます。
PLEATS PLEASE
三宅一生
「PLEATS PLEASE」は衣服ブランドです。プリーツが体型に合わせて様々な方向に自在に変形するため、太った人、痩せた人、腰の曲がった人、老若何女を問わず、体形にフィットするお洒落で個性的で快適な衣服であり、ユニバーサルデザインの原点です。これにはプリーツという個性ある技法が用いられていますが、プリーツのみではなく、すべての衣服に適用できる素材に変えられたら素晴らしいと思います。また洗濯も簡単に行うことができ、耐久性があるため環境にやさしい設計です。
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Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? イタリアのフィレンツェです。文化とファッションと食と人が好きです。 |
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Q2.一番聴いている音楽アーティストは? ビートルズ。『Girl』が好きです。 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? マンドリンクラブです。マンドリンが恋人でした。 |
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Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 富士ゼロックスで部長のお手伝いをし、ファックス誕生の実験に立ち合うことができました。 |