アメリカ文化・アメリカ文学の中で「人種」はどのように表現されてきたか
3人のマイノリティ女性作家に注目した博士論文
私はもともと現代アメリカ文学、その中でも特にトニ・モリスン(1993年にノーベル文学賞受賞)などの黒人女性作家たちの、女性の視点・マイノリティの視点から描かれたユニークでパワフルな世界に魅了されて、文学研究を志しました。文学研究が男性中心・白人中心であることがまだ意識されておらず、「アメリカ文学にはすぐれた女性作家がほとんどいない」と言われていた頃です。
その後留学を経て、黒人だけでなく、中国系、日系を含むアジア系、「インディアン」と呼ばれるアメリカ先住民といったマイノリティの女性作家たちに関心を広げ、3人のマイノリティ女性作家に注目して博士論文を完成させました(著書『アメリカ・マイノリティ女性文学と母性:キングストン、モリスン、シルコウ』(彩流社)はこの博士論文に加筆して日本語にしたものです)。
「人種」とは何なのか、文学作品を読み解く
その後、引き続きマイノリティ女性作家に注目していくだけではなく、そもそも「人種」とは何なのか、特に、アメリカ合衆国独特の「先祖に一人でも黒人がいたら黒人」といういわゆる「一滴の血ルール」がいつごろ、どのように定着し、それがアメリカ社会や文化にどのようなインパクトを与えてきたかについても、文学作品を読み解くことによって調べることに関心を持つようになりました。
今はその中でも特に、19世紀の作家マーク・トウェインなどの作品に人種の問題がどのように反映され、かつそれがどのようにジェンダーの問題とかかわっているかについて研究しています。
いろいろな外国文学に関心があり何を専門的に学びたいか迷いましたが、おそらく一番の決め手は1980年代に刊行された朝日新聞社「女たちの同時代」シリーズ(アメリカ黒人女性文学の翻訳シリーズ)を読んだことです。トニ・モリスンの『青い眼がほしい』と、短編集『真夜中の鳥たち』等に強く感銘をうけました。高校生の時に1年間交換留学してホームステイした体験も、アメリカ文化をもっと深く理解したいという意欲につながりました。
◆主な業種
(1) 商社・卸・輸入
(2) 小売(百貨店、スーパー、コンビニ、小売店等)
(3) 金融・保険・証券・ファイナンシャル
◆主な職種
(1) 総務
(2) 営業、営業企画、事業統括
(3) 経理・会計・財務、金融・ファイナンス、その他会計・税務・金融系専門職
◆学んだことはどう生きる?
企業の総合職、教育研究、翻訳などを含む様々な分野で活躍している人がいますが、あえて一人ご紹介するとしたら商社で総合職として世界各国に出張・出向して活躍している人です。
卒論は第二次世界大戦の歴史資料の展示をめぐる米国と日本での経緯と問題点を分析したものでした。執筆中に習得した英語のスキルはもちろんのこと、国際関係や文化の多様性についての知識、関心が今の業務に役立っていると思います。
私の所属する国際文化学科は、様々な分野の専門家が所属しています。地域でいえばアメリカ合衆国だけでなく、イギリス、フランス、ドイツ、中国、韓国、そしてもちろん日本、ジャンルでいえば文学、美術、音楽、映画、哲学などの科目が提供されていて、しかも入学後に様々な授業を受けながら、自分は何に一番関心があり、深く学びたいかを決めることができます。今いろんなことに関心があり、その中の何を大学で深く学びたいか、受験までに決められない!という好奇心旺盛でやる気のある人にお勧めだと思います。
文学作品の中の「差異」について
今までに印象に残った文学作品の中で、登場人物がどのように描かれているかについて、「男女」を含む様々な差異(人種、出身地、方言、階級など)に注目して読み直し、あらたに発見したことをまとめてみましょう。その際、それが特定の登場人物の視点から描かれたものか、あるいは作者の視点から描かれたものであるかも合わせて考えると、さらなる発見があるかもしれません。
| Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? かっこいい女性弁護士にあこがれるので法学部、と思ったりもするけれども、結局今と同じようなことをやるような気がします。 |
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| Q2.学生時代に/最近、熱中したゲームは? 学生時代に麻雀。へたくそでした。 |
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| Q3.大学時代の部活・サークルは? 釣り。海が好きで磯釣り班に所属していました。初心者だったので周りに迷惑をかけたと思います。 |
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| Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 機械の国際見本市で通訳/某テレビ局の雑用係/大学図書館のカウンター業務 |
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| Q5.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 翻訳。研究の対象になる重厚な純文学も軽いエンタメも、日本語読者に読んでもらいたいと思って翻訳するのは楽しいです。 |

