温暖化で雪が減れば土壌が酸性化? 気候変動による将来予測
渓流水を調べれば、森林の養分状態がわかる
森林は、二酸化炭素の吸収や水質浄化、大気浄化などを行い、多くの動植物が生息するかけがえのない空間です。森林を適切に保持するために、先ずは森林の状態を知る必要があります。
では、森林の状態を広範囲に渡って調べるにはどうすればよいでしょう。
渓流水水質の空間分布を調べることは有効な手段の一つです。渓流水には、その流域内の植物・土壌に使用されてのち流出した様々な物質が溶け込んでいるため、効率よく森林の養分状態を把握することができます。
多雪地域では、窒素は生態系に取り込まれにくい
渓流水水質の中でも特に、硝酸イオン(NO₃⁻)濃度に着目しています。森林の成長にとって重要な元素の一つである窒素(N)は、主にNO₃⁻の形で土壌から流れ出すため、NO₃⁻の濃度によって森林でのNの過不足がわかります。
これまでの研究で、化石燃料の燃焼によりN負荷の多い都市(関東、大阪、福岡等)の近郊では渓流水NO₃⁻濃度は高く、一方、多雪地域でありアジア大陸由来のN負荷が多い日本海側地域では、NO₃⁻濃度は低い水準にあることが明らかになりました。そのため、『雪と一緒に降ったNは雪中に留まり、春の雪解けとともに一気に流出し、生態系に取り込まれない』という積雪の寄与の可能性が考えられました。
土壌が酸性化すれば森林に影響
しかし今後、地球温暖化が進めば雪が雨に変わり、Nが過剰に土壌に取り込まれて土壌が酸性化するなど、森林に影響を及ぼす可能性があります。そこで今年度から、多雪地域である近畿地方の日本海側でより高密度に渓流水の水質調査を行い、気候変動による将来予測を行うことにしました。
一番初めのきっかけは、小学生の頃にさかのぼります。教科書に、アマゾンの森の減少を示す写真が掲載されていたのです。それを見て、とても衝撃を受けました。「森が破壊されている!何とかしなきゃ!」と思ったことを今でも覚えています。
その後、中学・高校・大学と進む中で、温暖化により夏の気温がどんどん上がっていきました。温暖化防止の面からみてもやはり森の果たす役割は大きいと改めて思い、森林科学に進むに至りました。
「多雪地域の渓流水中硝酸イオン濃度の形成メカニズムの解明と未来の濃度推定」
◆主な業種
(1) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等
(2) 食品・食料品・飲料品
◆主な職種
(1) 技術系企画・調査、コンサルタント
(2) 保守・メインテナンス・維持管理、運用・システムアドミニストレータ・サービスエンジニア
(3) 品質管理・評価
森林総研チャンネル
国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
森林総研チャンネルでは、森林に関する基礎知識を含め、森を守り活かす研究について、研究者自身の声で紹介されています。その内容は多岐に渡り、森林の生物多様性を保全する研究、病虫害から森林を守る手法の検討、気候変動が森林の植生や土壌に及ぼす影響の調査などです。さらに、未利用の森林資源を活かす方法の開発など、森林の未来が広がります。
森林研究と言っても各研究者の専門は分かれるのですが、論文や専門書だけでなく、このような研究機関の動画・記事を見ることも、広く知識を得るのに役立っています。高校生の皆さんも、このような動画で森林研究の最前線に触れてみるのはいかがでしょうか。
[webサイトへ]
| Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 変わらず森林科学 |
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| Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? アラスカ、カナダ、北欧:寒冷地の土壌炭素蓄積について研究してみたい。 |
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| Q3.感動した/印象に残っている映画は? Always三丁目の夕日 |
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| Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 観光:たまにしか行けませんが、山や川や海だけでなく寺社仏閣に行くのも好きです。 |

