植物でも遺伝子量補正が働く! パンコムギでさらに追究
遺伝子量補正は動物に見られる現象
遺伝子量補正は、主に動物の性染色体で知られる現象で、遺伝子の発現量が雄と雌との間で同レベルに調節される機構です。
例えば我々ヒトを含む哺乳類では、雌(XX)の片方のX染色体全体が不活性化され、X染色体上の遺伝子の発現量が雄(XY)のそれと同等になることが知られています。一方、ショウジョウバエでは雄のX染色体が2倍の発現量を示し、雌雄間の差を調整します。
モデル植物シロイヌナズナでも遺伝子量補正
近年、植物の常染色体(性染色体以外の染色体)においても、遺伝子量補正が働くことが明らかになってきました。重イオンビームという技術を用いてモデル植物シロイヌナズナの片方の染色体に部分的な欠失を起こし、遺伝子量を半分にしたところ、相方を失った遺伝子のうち約2割が2倍の発現量を示し、トータルの発現が元のレベルまで調整されていました。
現在、さらに多くの遺伝子で補正の有無を調べるため、遺伝子コピー数の増減に寛容とされるパンコムギなどの倍数性植物を用いた研究に取り組んでいます。
情報学のスキルで生物学に挑戦
ゲノム解析や遺伝子発現解析に必要となるのが情報学のスキルです。ATCGの4文字からなるDNA配列の解析にはテキスト処理などプログラミング言語が必要ですし、発現の増減を判定するには統計の知識が求められます。DNA配列を読み取るシーケンサーの技術革新により、単一のラボや研究者個人でも容易にビッグデータを取得できるようになりました。
みなさんも「生物×データサイエンス」に挑戦してみませんか。
国語や英語が好きだったのに、なんとなく高校で理系クラスを選び、パソコンが嫌いだったので、なんとなく農学部に進学しました。しかし、大学で宅見薫雄先生の遺伝学の講義に衝撃を受け、研究遂行上の必要に迫られて(最初は嫌々)プログラミングを勉強し、現在に至っています。高校生のうちから将来の夢や憧れの職業を持っている方々のことは心から尊敬しますが、そうでない人も焦らなくていいと思います。
「異質倍数性コムギをモデルとした植物常染色体の遺伝子量補正に関する研究」
◆主な業種
(1) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等
(2) 農業、林業、水産業
(3) 食品・食料品・飲料品
◆主な職種
(1) 総務
(2) 基礎・応用研究、先行開発
(3) 品質管理・評価
◆学んだことはどう生きる?
県の農業試験場や農協など、農学職に就く卒業生が多くいます。「一日一度は研究植物を見廻る事」との先代からの教えに象徴されるように、生き物を育てる経験が活かされれば嬉しく思います。
福井県立大学の生物資源学科には植物のみならず、動物や微生物、食品から化学に至るまで、多種多様な研究室があります。進路を絞りきれない方は、一般教養も含め、いろんな講義に触れてから専門分野を決めるのもありだと思います。また、国立大学にも引けを取らない実験施設や研究機材、熱意溢れる個性的な教授陣が揃っています。企業との産学連携も盛んなので、地元に貢献したい意志を持った学生さんも大歓迎です。
次世代シーケンサーはゲノムの配列決定のみならず、染色体の立体構造の解析やヒストン修飾などのエピゲノム解析にも用いられます。
また、遺伝性疾患の原因となる遺伝子変異の検出、創薬の分子ターゲットの探索、畜産・作物分野における品種改良や、環境モニタリングなど、様々な分野で利用されています(私自身も知らない使い道の方が多いと思います)。みなさんが目指す分野での応用例についても調べてみてください。
| Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 経済学 |
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| Q2.大学時代の部活・サークルは? 合氣道 |
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| Q3.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 子育て |
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| Q4.好きな言葉は? 果報は寝て待て |

