材料加工・組織制御工学

木材の加工法

プラスチックの代わりに木材を! 加工が難しい木材の新たな加工法


梶川翔平先生

電気通信大学 情報理工学域 Ⅲ類(理工系) 機械システムプログラム(情報理工学研究科 機械知能システム学専攻)

出会いの一冊

トコトンやさしい金型の本

吉田弘美(日刊工業新聞社)

金型を使ったさまざまな製品の加工方法が紹介されていて、身近な製品の多くが金型によって作られていることがわかる一冊です。

金型を使えば、同じ製品を速く、しかも大量に作ることができるため、ものづくりには欠かせません。私が取り組んでいる研究でも金型を活用しています。ぜひ読んで、この分野に興味を持ってもらえるとうれしいです。

こんな研究で世界を変えよう!

プラスチックの代わりに木材を! 加工が難しい木材の新たな加工法

木材は環境負荷が少ない材料

私たちの研究室では、環境への負荷が少ない資源である木材を、さまざまな形に加工する方法を研究しています。

木材は計画的な植林・伐採を繰り返すことで持続的に利用できる資源です。また、木材を燃やして発生する二酸化炭素は、木が成長する過程で大気から吸収したものであり、大気中の二酸化炭素を実質的に増やさない(カーボンニュートラル)という特長があります。これは、化石資源であるプラスチックを焼却する場合と大きく異なります。

しかし、木材は金属やプラスチックに比べ加工が難しいという特徴があります。金属やプラスチックは切削や変形などで自在に形を変えられますが、木材は切ったり削ったりすることはできても、柔らかくして大きく変形させることは得意ではありません。

木材をプラスチックのように柔らかくして成形できる

そこで私たちは、木材をプラスチックのように柔らかくして成形できる新しい方法を提案しました。粉末状にした木材(木粉)に天然由来のスクロース(砂糖)やクエン酸を混ぜ、加熱すると、木粉が柔らかくなり流動するようになります。これを金型に流し込んだり、金型から押し出したりすることで、さまざまな形状に加工できます。

この技術により多様な部品を作れることを明らかにし、現在は流れやすさを高める研究や成形機械の開発を進めています。将来的には、食器や文房具など身近なプラスチック製品を木材由来の材料に置き換え、プラスチックごみによる環境負荷を減らすことを目指しています。

左:金型から押し出されてくる木材チューブ 右:木粉と天然系の添加剤
左:金型から押し出されてくる木材チューブ 右:木粉と天然系の添加剤
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

高校時代は物理が比較的得意で、なんとなくものづくりに関わる仕事がしたいと思っていました。そこで大学では、工学部の機械系の学科に進学しました。

現在の研究分野を選ぶ直接のきっかけは、大学4年生のときの研究室配属です。卒業研究で木材を成形するテーマに出会い、木粉が流れて形を作る様子を見て、その面白さに引き込まれました。成形されたものを手に取り、観察して評価できる点も、自分に合っていると感じました。

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「高強度化および大変形を実現する木材の高静水圧塑性加工法の開発」

詳しくはこちら

先生の分野を学ぶには
もっと先生の研究・研究室を見てみよう
木材を作った様々な成形品
木材を作った様々な成形品
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 自動車・機器

(2) 一般機械・機器、産業機械(工作機械・建設機械等)等

(3) 電気機械・機器(重電系は除く)

◆主な職種

(1) 設計・開発

(2) 生産技術(プラント系以外)

(3) 基礎・応用研究、先行開発

◆学んだことはどう生きる?

卒業生の多くは、自動車や産業機械などを作るメーカーに就職し、設計や開発、生産技術、研究などの仕事をしています。私たちの研究室では、学生が自分で実験装置を設計・製作し、実験まで行います。さらに、その成果をまとめて国内外の学会で発表します。こうした経験は、どんな業界に進んでも役立つはずです。また、研究テーマに関連した業界に就職した卒業生と、後に共同研究に発展することもあります。

先生の学部・学科は?

私が所属しているIII類(理工系)では、機械システム、電気工学、光工学、物理工学、化学生命工学など幅広い分野のプログラムがあるため、入学してから選べる専門分野の選択肢が広いです。また、機械システムプログラムでは、自動車、航空機、ロボット、医療機器などを製造するための基盤となる技術に関する研究や教育を行っています。

先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

地球の歩き方

地球の歩き方編集室

大学生になったら、ぜひ海外に行ってみると良いと思います。世界に行くと、日本とは異なる視点から様々な取り組みがなされており、日本の長所や短所を知る機会にもなると思います。スマホ一つあれば、世界のことは何でも調べられる世の中ですが、「地球の歩き方」を片手に異国の街を歩くと、新しい発見があるかもしれません。


陸王

池井戸潤(集英社文庫)

足袋の老舗企業が、陸上競技用のシューズを新しく開発する物語です。昔ながらの技術を応用して、イノベーションを起こしていく様は、ものづくりに携わる技術者や研究者だけでなく、若い方々にも勇気と希望を与えてくれるので、ぜひ読んでみてください。

一問一答
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は?

情報系も興味がありますが、やはり今と同じ機械系が良いですね。実際のモノを触って研究するのは楽しいです。

Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?

ヨーロッパの地中海沿岸部。街並みが綺麗で、天気が良く、ピザ、パエリア、リゾットなど、食事もおいしい。

Q3.感動した/印象に残っている映画は?

スターウォーズ エピソード3

Q4.学生時代に/最近、熱中したゲームは?

FINAL FANTASY VII、IX、X


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