有機・ハイブリッド材料

太陽電池材料

太陽電池材料の能力を引き出し、よりクリーンな電気エネルギーへ


田中仙君先生

近畿大学 理工学部 エネルギー物質学科

出会いの一冊

こんな研究で世界を変えよう!

太陽電池材料の能力を引き出し、よりクリーンな電気エネルギーへ

注目の太陽電池材料 ペロブスカイト

いま皆さんが眺めているディスプレイは電気で動いています。電気はとても便利なエネルギーで、現代社会では膨大な量が使われています。ただ、その電気を生み出す過程で、地球温暖化が進んでしまうことが懸念されています。そこで、クリーンな電気エネルギー源として期待されているのが太陽電池です。

そして最近、鉛ハライドペロブスカイト(以下、ペロブスカイト)という物質が新しい太陽電池材料として注目されています。この材料は日本の研究者が、2010年代前半にそのすぐれた性能を見い出しました。

ペロブスカイトから電気を取り出すためには、その表面に電極を含めた何層かの薄い膜を付ける必要があります。(ちなみに、膜の厚さはnm(ナノメートル:10 -9 m)のオーダーです。)面白いことに、これらの膜の種類や組み合わせ、厚さの違いによって、太陽電池の性能が大きく変わってきます。そこで私たちは、ペロブスカイトの上にいろいろな条件で膜を形成し、その影響を詳しく調べています。

固体の表面は内部よりもずっと複雑

ノーベル物理学賞を受賞したヴォルフガング・パウリは、「神は固体を作り、その表面は悪魔が作った」と述べました。これは、固体の表面は内部よりもずっと複雑でやっかいであることを示唆した言葉です。けれども、人間の知恵と技を使って表面の難しさを乗り越えると、多くのメリットが手に入るということかもしれません。

私たちの研究成果でペロブスカイトの能力を十分に引き出せれば、よりクリーンな電気エネルギーの普及に役立つと期待しています。

研究室の実験装置
ペロブスカイト太陽電池を作るときには空気中の酸素や水が邪魔になります。そのために、窒素ガスで満たされたグローブボックスという大きな箱の中で作業します。(上段左)また、真空蒸着装置という装置を使って真空中で金属を昇華させて、電極を付けたりします。(下段左)昇華中は加熱された金属が光ります。(下段右)研究室で作製するペロブスカイト太陽電池は手のひらサイズです。黒い部分がペロブスカイト膜です。(上段右)
研究室の実験装置
ペロブスカイト太陽電池を作るときには空気中の酸素や水が邪魔になります。そのために、窒素ガスで満たされたグローブボックスという大きな箱の中で作業します。(上段左)また、真空蒸着装置という装置を使って真空中で金属を昇華させて、電極を付けたりします。(下段左)昇華中は加熱された金属が光ります。(下段右)研究室で作製するペロブスカイト太陽電池は手のひらサイズです。黒い部分がペロブスカイト膜です。(上段右)
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

今の研究テーマに至ったのはある意味たまたまなのですが、そもそもなぜ研究者になったのかというと、ドラえもんの秘密道具を作ってみたかったからかもしれません。夢を叶える何か新しいものを作ってみたい、見つけてみたい、という動機付けが、ドラえもんによって刷り込まれた気がします。

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「鉛ハライドペロブスカイトの表面処理による表面/界面機能制御」

詳しくはこちら

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分析装置
ペロブスカイト膜の性質を調べるために、X線光電子分光装置という分析装置を使います。装置は覆いで囲まれていますが、中にはカッコいい機械が入っていて、ペロブスカイト膜にX線を当てて、飛び出してくる電子のエネルギーを分析できます。
分析装置
ペロブスカイト膜の性質を調べるために、X線光電子分光装置という分析装置を使います。装置は覆いで囲まれていますが、中にはカッコいい機械が入っていて、ペロブスカイト膜にX線を当てて、飛び出してくる電子のエネルギーを分析できます。
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 半導体・電子部品・デバイス

(2) 電気機械・機器(重電系は除く)

(3) 建設全般(土木・建築・都市)

◆主な職種

(1) 設計・開発

(2) 生産管理・施工管理

◆学んだことはどう生きる?

先生の学部・学科は?

近畿大学理工学部エネルギー物質学科は、「エネルギー」というキーワードのもと、物理・化学・生物に関連する領域を横断的に学ぶことができます。学校で理系科目に興味を持ったけど、ひとつに絞り切れない、あるいはどれもやってみたい、という人はぜひ調べてみてください。教員の専門分野も幅広く、私は太陽電池や半導体表面について研究していますが、生命現象から原子力まで、エネルギーを軸とした研究を展開しています。

先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

NIMS ムービーライブラリ

国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)

日本の科学技術の得意分野の一つに材料開発があります。私が携わっているペロブスカイト太陽電池も、ペロブスカイト材料の新しい性質を見つけたことからその研究が大きく進展しました。NIMSというのは国立の研究所のひとつで、様々な物質や材料について最先端の研究を行っています。その研究所が作っている動画はどれもとてもよくできていて、もっと知りたい!自分の手でやってみたい!と思えるものばかりです。ちょっとしたすきま時間に見てみて興味を引くものがあれば、その関連分野について調べてみるのはいかがでしょうか。

[webサイトへ]


ご冗談でしょう、ファインマンさん

リチャード・P・ファインマン(岩波現代文庫)

著者のファインマン先生はノーベル物理学を受賞している大変有名な科学者で、その魅力的な人がらが伝わってくる自伝です。物理の話もありますが、タイトルの通り、ほんまですか?と聞きたくなるようなエピソードが満載です。勉強に疲れた時の息抜きにもおススメです。


宇宙飛行士選抜試験 ファイナリストの消えない記憶

内山崇(SB新書)

宇宙飛行士に憧れたことはありませんか?私は憧れて選抜試験も受けました。この本は、宇宙飛行士選抜最終試験まで残った著者の内山さんが、内側から見た試験の様子から試験が終わったあとの感情まで、余すところなく描いてくれています。宇宙飛行士に興味のある人はぜひ読んでみてください。


三体

劉慈欣(ハヤカワ文庫)

3部作のサイエンスフィクション小説です。とにかくスケールが大きくて圧倒されます。物理の知識があるとより楽しめるので、作中でこれってどういうこと?という部分を調べてみると物理の勉強にもなって一石二鳥かもしれません。

一問一答
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?

スペイン/研究のために1年間滞在し、とても気に入ったので。

Q2.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは?

ランニング 研究するうえでも体力が必要なので一石二鳥