難治化する円形脱毛症の新たな治療法に挑む
皮膚科外来で最も多い疾患「円形脱毛症」
脱毛症とは髪の毛が抜けてしまう病気です。その中で皮膚科外来で最も多い疾患が「円形脱毛症」です。500円くらいの大きさの場合も多いのですが、中には頭部全体、全身の毛髪が脱毛してしまう方もいます。
あなたの頭髪が突然、明日から全て抜け始めたらどう思いますか。中高生といったらおしゃれに関心が高まる頃です。しかしそうしたことができない同級生もいるのです。
薬が効かないのはなぜ
私の研究テーマは円形脱毛症を免疫学の観点から解析することです。2002〜2004年、ドイツ・ハンブルグ大学に留学中している時、インターフェロンγという炎症物質が脱毛症状をきたすことを研究していました。
円形脱毛症の病変部でその炎症物質が増えていることから、バリシチニブ、リトレシチニブといったJAK阻害薬が開発されました。そもそも円形脱毛症は自己の免疫細胞が自身の毛包組織を攻撃する自己免疫疾患です。同じ場所に何度も脱毛症状を繰り返すしたり、JAK阻害薬が無効な場合もあります。これはなぜだろうという疑問が生じました。
そこで病変組織を採取し免疫細胞の分布をよく見直すと、毛包組織にまとわりつくように居残るリンパ球、すなわちresident memory T細胞がいることがわかってきました。毛包周囲にとどまり、持続的に毛包を攻撃している可能性があります。これらの細胞を対象とした治療開発が難治性円形脱毛症の新たな展開に結びつくと期待されます。
毛髪の研究を始めたのは、医師になって上司に、あるモデルマウスのお世話をするように指示されたことがきっかけです。そこから研究の道に入りました。留学も上司にドイツに行ってみないかと、ちょっと言われたことがきっかけです。こうしたちょっとしたきっかけを大切にすることが、その後の人生の方向性を決めることがあります。
「円形脱毛症の難治化におけるresident memory T細胞の関わりと新規治療の展開」
浜松医科大学皮膚科は、静岡県を中心に活躍する医師の教育、総合病院への皮膚科医師の派遣など地域医療の要となっています。
皮膚科学の教科書は他の医学科と比べてとても厚く多様な分野があり、アトピー性皮膚炎を代表とする皮膚アレルギーの他、皮膚腫瘍や水疱症、膠原病、汗疾患、色素異常、感染症、、、その他かなり多様です。それぞれに専門分野があります。浜松医科大学皮膚科では、円形脱毛症を中心として、脱毛症の免疫に関わる病態解明を行っています。またアトピー性皮膚炎や皮膚悪性リンパ腫、汗疾患などを専門とする医師もいます。
私自身は、円形脱毛症や男性型脱毛症診療ガイドラインの委員を務め、また新薬開発のために必要な臨床試験を多数行っています。一般の皆様に脱毛症への理解を深めていただくために、啓蒙活動の一環としてNHKなどの出演を行なっています。
| Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 医学 |
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| Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? ドイツ:留学中に感じたこととして、安全で真面目で落ち着いた実質的な国だから。 |
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| Q3.一番聴いている音楽アーティストは? 反田恭平 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 |
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| Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 地域の歴史散策、森林活動 |

