穀物の不足や価格高騰! おからやカステラの切れ端を乳牛のエサに
4つの胃で草の繊維を分解
アイスクリーム、チーズ、バター、ハンバーガー、牛丼…これらの食べ物のもとになる牛乳や牛肉は、牛から人間への贈り物です。でも、牛自身は何を食べているのでしょうか。
答えは「草」。ただし、牛は人間と違い胃が4つあり、特に一番目の第一胃は多くの微生物が住む巨大な発酵タンクのような場所です。ここでは微生物たちが草に含まれる硬い繊維を分解し、牛が吸収できる栄養に変えています。このおかげで、牛は人間が消化できない草を、おいしいミルクや肉に変えることができるのです。
食品工場の副産物は栄養の宝庫?!
乳牛が毎日30kg以上の牛乳を作るためには、実は草だけではエネルギーやタンパク質が足りません。そのため穀物を補いますが、近年は世界的な価格高騰や供給不安が問題になっています。
そこで私たちは穀物の代わりに、食品工場から出る副産物を牛のエサとして利用できないか研究しています。例えば、豆腐作りで出る「おから」、カステラ製造時の切れ端、日本酒作りで出る「酒粕」などです。これらにはタンパク質やデンプンが残っており、牛の発酵タンク(第一胃)の力を使えば人間にとって価値の高いミルクや肉に変えることができます。
尿や糞は「重要なデータ」 栄養状態を科学的に解明
この研究の特徴は、実際に牛に食品副産物を与えるだけでなく、それが体内でどう消化・吸収されるのかを科学的に調べている点です。尿や糞は、一見「汚い」と思ってしまうかもしれませんが、牛がえさからどれだけ栄養を取り込めたかを判断するための重要な情報源です。これらを化学的に分析することで、どの副産物が牛にとって良いエサなのかを具体的に示すことができます。
農家や研究所との共同プロジェクト
私たちは大学の研究室での実験だけでなく、実際に乳牛や肉牛を飼育している県の研究所、農業大学校、地元農家との共同で研究を行っています。このように牛の体と地球のことを考えながら、これからも学生のみなさんたちと研究をしていきたいと思っています。
高校生の頃は工学部の機械航空にあこがれ、物理と化学を選択していました。大学受験を考えた時に機械航空には成績が足らず、「環境」に興味が移り、農学部に入りました。その後、いろいろな分野の講義を受けているうちに、自分自身(=動物)の体はどうなっているのか?と興味がわき、動物のコースに入りました。高校生から大学生、そして今まで、右往左往しましたが、動物と環境の両方を考える今の研究分野になりました。
「極短穂型飼料用イネでは、本当に 繊維消化性が高くなっているのか?」
◆主な業種
(1) 食品・食料品・飲料品
(2) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等
◆主な職種
(1) 品質管理・評価
(2) 技術系企画・調査、コンサルタント
◆学んだことはどう生きる?
県職員として研究所で研究をしたり、農業改良普及員として農家現場での調査や情報提供などを行っている卒業生たちもいます。大学で学んだ家畜や作物、野菜などの専門知識だけではなく、物事の調べ方、データのまとめ方、発表の仕方などが役立っているようです。
| Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? やっぱりまた農学部:私たちに必要な食料生産や環境を学べる農学には魅力が満載です。 |
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| Q2.一番聴いている音楽アーティストは? YOASOBI:車での移動中に家族で聞いています。 |
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| Q3.感動した/印象に残っている映画は? アポロ13:地球を出てから故障した宇宙船で、3人の宇宙飛行士が月を回り地球へ戻ってくるという実話に基づいた映画。宇宙の神秘と恐怖。生きて地球に帰還するために、科学の力と人間の知恵を多くの場面で感じる作品。 |
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| Q4.大学時代の部活・サークルは? ジャスオーケストラ:天空の城ラピュタにあこがれてトランペットを始めましたが、、、長続きせず。 |
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| Q5.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? ジュースのガラス瓶を製造する工場:出来たてのガラス瓶の口から熱風が上がってくることが印象に残っています。高校物理で習った「熱い空気は軽い」ことを実感しました。 |

