環境農学(含ランドスケープ科学)

ミドリムシ

愛するミドリムシで、バイオものづくりを!


中澤昌美先生

大阪公立大学 農学部 生命機能化学科(農学研究科 生命機能化学専攻)

出会いの一冊

もやしもん

石川雅之(イブニングKC)

私の所属する分野は「農芸化学」というのですが、一通り大学生の講義を聴いてから読んだ時に、あの話か!と思うことがたくさんありました。高校生の段階では、生物は記憶する学問という側面もあるかもしれませんが、面白がって心に残せば、自然に知識が蓄積していくのではないかと思います。

面白がれる心を持っているが一番大事、というのが私の研究に対する考え方のコアになっています。自分の分野だけでなく、他の人の研究も面白がれる心を持つことが、思わぬ将来の扉を開いてくれることも多いです。そんなオープンな心を持った方とこれからも一緒に研究を楽しんでいきたいです。

こんな研究で世界を変えよう!

愛するミドリムシで、バイオものづくりを!

酸素濃度が低くなると油を作る!?

ミドリムシは周りの酸素濃度が低くなると、それを検知して細胞の中にそれまでため込んでいた貯蔵多糖(β-1,3-グルカン、分解しにくい糖です)をたった1日ほどで分解し、ワックスエステルという油の一種を新たに細胞の中にため込みます。

実は、酸素が無いところでたくさん化合物を作るというのは、一般的な生き物にとってそんなに簡単なことではありません。大体の場合「電子」の受け渡しがうまくいかなくなって、還元状態に偏るからだと考えられています。さらに、酸素が無いと、ミトコンドリアでの酸素呼吸が低下することで、ATP生産量が大きく下がってしまいます。人間でイメージしていただくと、お腹に脂肪がつくときはどんな時?と考えると、食べ過ぎ、すなわちエネルギーが余る時です。

それにもかかわらず、ミドリムシは酸素が無くて、還元力は余るし、エネルギーも足りなさそうな環境で、油を作る、というこれまでの生化学の常識では説明できないことをいとも簡単にやってのけます。

油と同時に、人間が欲しいものも作って!

私たちはその背後にある仕組みを解き明かしたい!という気持ちで研究しています。調べていくと、実は油以外にもコハク酸などを同時に作っていることもわかってきました。

酸素が無いときにミドリムシがどんな反応で生き延びているのかを詳しく知り、それを代謝改変で「人間が欲しいもの」をたくさん、油と同時に作ってくれるように変えることで、「ミドリムシでバイオものづくり」ができる未来を目指しています。

愛するユーグレナたちです!
愛するユーグレナたちです!
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

高校生までは、理科や生物が漠然と好きでした。大学で、バイオテクノロジー分野を学びたい、という気持ちから農芸化学という分野に足を踏み入れ、大学生の時の講義で偶然であった「ミドリムシ」と20年以上付き合うことになるとは、当時は全く想像しませんでした。

今思うと、ミドリムシの代謝には教科書には載っていない面白いことがたくさんあるよ!とニコニコ話してくださった先生との出会いがきっかけになりました。

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「ユーグレナの効率的な嫌気下物質生産能を基盤とした嫌気的バイオリファイナリーの創出」

詳しくはこちら

先生の分野を学ぶには
もっと先生の研究・研究室を見てみよう
研究を頑張っていれば、世界の仲間とつながれます。
研究を頑張っていれば、世界の仲間とつながれます。
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) その他の化学系

(2) 化学/化粧品・繊維・衣料/化学工業製品・石油製品

(3) 食品・食料品・飲料品

◆主な職種

(1) 基礎・応用研究、先行開発

(2) 設計・開発

(3) 品質管理・評価

◆学んだことはどう生きる?

学科全体では、食品会社に勤務される方が多いのですが、私の担当学生の方はその比率はあまり高くなく、「環境」というキーワードをベースにして、化学系・環境系の会社に就職する方が多いです。おそらく、研究に関連した環境化学、バイオトランスフォーメーションなどの概念に魅力を感じてくれる方が多いからではないかと思います。

先生の学部・学科は?

微生物から高等生物まで、幅広い「生命」を、化学・生化学の言葉で語っていける、魅力的な学科だと自負しています。

先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

「大発見」の思考法 iPS細胞 vs. 素粒子

山中伸弥、益川敏英(文春新書)

少し前の本になってしまいますが、日本が誇る2名のノーベル賞受賞者の対談本です。とにかく、読みだすと引き込まれる面白く、そして心に残る本、ぜひ高校生の年代で触れてみ欲しいです。

一問一答
Q1.学生時代に/最近、熱中したゲームは?

ドラゴンクエスト全盛期でした・・・!例にもれずハマっていました。

Q2.大学時代の部活・サークルは?

ハンドボール(プレーヤー)してました。

Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

公文式のアルバイトで、走って逃げる幼稚園児を抱えて席に戻したりしていました。幼稚園児から高校生まで幅広くいる教室で、楽しかったです。

Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは?

子育てを楽しんでいます。

Q5.好きな言葉は?

「偶然」を拾い上げる眼と心を養おう!