プラズマを制御し、ロケットエンジンの性能アップに挑む
ロケットを推進する「ホールスラスタ」
「ロケット」と聞くと、皆さんは何を想像しますか。私たちは、宇宙の中を進むためのロケットエンジンである「ホールスラスタ」の研究をしています。
ホールスラスタは、磁場の力を借りてプラズマ(雷のように光る、ガスが電気を帯びた状態)を作り、それを電気の力を使って「投げる」ロケットエンジンです。このホールスラスタには、プラズマの動きを磁場で上手くコントロールできず、予測以上に磁場からプラズマが漏れていってしまう「異常輸送」という長年の問題がありました。最近の研究で、この現象が、プラズマの中に生じる「渦」と関係していることがわかってきました。この渦をうまく制御できれば、エンジンの性能を飛躍的に改善できそうなこともわかってきました。
「渦」を思い通りにコントロールしたい
ところで、今皆さんの近くに水道の蛇口はあるでしょうか。蛇口のなかを覗いてみてください。おそらく網目やギザギザの板が中に入っていると思います。この様な板は「整流板」と呼ばれ、水の流れをスムーズにする働きをします。
私たちの研究では、この整流板の様に、ホールスラスタのプラズマに敢えて「人工的な乱れ」を与えることで、プラズマ中の「渦」を思い通りにコントロールできないか、という挑戦をしています。
美しく光るプラズマを操って宇宙を飛んでいるホールスラスタですが、実はまだまだわかっていない物理も多いです。私たちは日々新しい発見にワクワクしながら、よりよい宇宙のエンジンを開発するために研究を行っています。
「高密度イオン推進機における乱れの付加を利用した電子輸送の促進と抑制」
JAXAやNASAのホームページで「イオンエンジン」や「ホールスラスタ」について調べて、宇宙で使われているプラズマの技術に触れてみるのがおすすめです。きれいなプラズマの発光はSF感があって格好いいと(私は)思いますが、Fictionではなく宇宙でどんどん使われている技術です。

