航空宇宙工学

ロケットエンジン

プラズマを制御し、ロケットエンジンの性能アップに挑む


川嶋嶺先生

芝浦工業大学 工学部 電気電子工学課程

出会いの一冊

宇宙兄弟

小山宙哉(モーニングKC)

『宇宙兄弟』は、宇宙飛行士を目指す兄弟の夢と挑戦を描く漫画です。最大の魅力は、人間ドラマだけでなく科学や技術の説明が丁寧に盛り込まれている点です。

ロケットや宇宙服の仕組み、訓練方法などがリアルに描かれ、学びながら物語に引き込まれます。またNASAでの試験や訓練の緊張感、国際的な雰囲気も迫力ある描写で伝わってきます。夢に挑む姿勢に加え、最先端の宇宙開発の世界観を味わえる作品として、高校生にも強くおすすめできる一冊です。

こんな研究で世界を変えよう!

プラズマを制御し、ロケットエンジンの性能アップに挑む

ロケットを推進する「ホールスラスタ」

「ロケット」と聞くと、皆さんは何を想像しますか。私たちは、宇宙の中を進むためのロケットエンジンである「ホールスラスタ」の研究をしています。

ホールスラスタは、磁場の力を借りてプラズマ(雷のように光る、ガスが電気を帯びた状態)を作り、それを電気の力を使って「投げる」ロケットエンジンです。このホールスラスタには、プラズマの動きを磁場で上手くコントロールできず、予測以上に磁場からプラズマが漏れていってしまう「異常輸送」という長年の問題がありました。最近の研究で、この現象が、プラズマの中に生じる「渦」と関係していることがわかってきました。この渦をうまく制御できれば、エンジンの性能を飛躍的に改善できそうなこともわかってきました。

「渦」を思い通りにコントロールしたい

ところで、今皆さんの近くに水道の蛇口はあるでしょうか。蛇口のなかを覗いてみてください。おそらく網目やギザギザの板が中に入っていると思います。この様な板は「整流板」と呼ばれ、水の流れをスムーズにする働きをします。

私たちの研究では、この整流板の様に、ホールスラスタのプラズマに敢えて「人工的な乱れ」を与えることで、プラズマ中の「渦」を思い通りにコントロールできないか、という挑戦をしています。

美しく光るプラズマを操って宇宙を飛んでいるホールスラスタですが、実はまだまだわかっていない物理も多いです。私たちは日々新しい発見にワクワクしながら、よりよい宇宙のエンジンを開発するために研究を行っています。

宇宙電気推進機(ホールスラスタ)の実験を行っている様子。宇宙空間を模擬する真空チャンバーの中でプラズマを作ります。
宇宙電気推進機(ホールスラスタ)の実験を行っている様子。宇宙空間を模擬する真空チャンバーの中でプラズマを作ります。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「高密度イオン推進機における乱れの付加を利用した電子輸送の促進と抑制」

詳しくはこちら

先生の分野を学ぶには
もっと先生の研究・研究室を見てみよう
研究内容について議論する様子。研究室にはミーティングテーブルが設置されていて活発な議論が行われます。
研究内容について議論する様子。研究室にはミーティングテーブルが設置されていて活発な議論が行われます。
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

◆主な職種

◆学んだことはどう生きる?

先生の研究に挑戦しよう!

JAXAやNASAのホームページで「イオンエンジン」や「ホールスラスタ」について調べて、宇宙で使われているプラズマの技術に触れてみるのがおすすめです。きれいなプラズマの発光はSF感があって格好いいと(私は)思いますが、Fictionではなく宇宙でどんどん使われている技術です。

真空チャンバーの前で議論する様子。フランス、オーストリア、ブラジル、マレーシア、ドイツなどさまざまな国の留学生と関わりがあります。
真空チャンバーの前で議論する様子。フランス、オーストリア、ブラジル、マレーシア、ドイツなどさまざまな国の留学生と関わりがあります。
先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

アルマゲドン

マイケル・ベイ監督

巨大隕石の地球衝突を阻止するため、NASAが挑む壮大なミッションを描いた映画です。いわゆるSFですが、私自身、宇宙開発に関心を持ったきっかけの一つがこの作品でした。宇宙飛行士だけでなく地上から宇宙を支える管制官や技術者たちの姿も描かれている作品ですので、宇宙開発の現場に魅力を感じるきっかけにもなると思います。


プラネテス

幸村誠(モーニングKC)

宇宙ゴミ(スペースデブリ)を題材にした漫画です。私が在学中に東京大学の図書館にも所蔵されていました。宇宙空間に散らばるデブリを回収するという地道で目立たないけれど不可欠な仕事を通して、宇宙で働く人々の葛藤や使命感が静かに描かれています。

一問一答