少量の画像データでも、「これが大事!」と自動判断できるAI
ディープラーニングが人間の精度を上回った
コンピュータが画像を見て、「これはネコ」「これは自転車」とわかるなんて、不思議だと思いませんか。
これは「画像認識」と呼ばれるAI(人工知能)の技術によって実現されています。私の研究では、この画像認識の技術を、個別の問題に合わせて、より環境にやさしく、効率よく活用・開発する方法を探っています。
2015年ごろ、AIが人間よりも正確に画像を分類できるようになったと大きな話題になりました。これは、1,000種類以上の画像を分類する世界的なコンテストで、深層学習(ディープラーニング)と呼ばれる技術が初めて人間の精度を上回ったことがきっかけです。
学習には大量のデータが必要
画期的な成果でしたが、その裏では、何百万枚もの画像を集めて「これはネコ」「これは自転車」と人が一つひとつラベルをつけ、大型コンピュータを長時間動かす必要があります。この方法では、膨大な時間とエネルギーがかかり、ひいては地球環境にも大きな負担となります。
そこで私の研究では、人とコンピュータ(AI)が協力して、必要な部分だけに注目して学習できる方法を開発しています。
たとえば、人が「このあたりが大事だよ」と画像の中で注目すべき場所を示すことで、コンピュータは無駄な処理を省き、より少ないデータでも効率よく学習できるようになります。皆さんも、試験までの時間が限られているとき、大事な問題を優先して勉強しますよね。それと同じ考え方です。
社会インフラの外観検査に活用
その技術を、コンクリートの構造物や舗装路面のひび割れ抽出など、社会インフラの外観検査に使っています。AIが少量のひび割れの画像データで学習し、ひび割れを評価できる仕組みです。
さらに現在は、AI自身が「どのデータが大事か」「どこを見ればよいか」を自動で判断できるようにすることを目指しています。こうした工夫によって、より少ない資源で高性能なAIを作ることができ、地球にやさしい未来の技術につながっていくことが期待されます。
高校時代は数学が好きで、コンピュータにも興味がありました。その関心から情報工学を学びたいと考え、山口大学工学部知能情報システム工学科に進学しました。
大学では浜本義彦教授の講義を受ける中でパターン認識に興味を持ち、同教授の「情報認識工学研究室」への配属を希望し、配属されました。研究活動を通じて、パターン認識は多様な分野のさまざまな課題に応用でき、社会の問題解決にも大きく貢献できることを実感しました。それをきっかけに、私自身も「世の中に役立つ研究がしたい」と強く思うようになりました。
「少量データでの自律的学習を実現するAIモデルの設計と評価」
◆主な業種
(1) コンピュータ、情報通信機器
(2) ソフトウエア、情報システム開発
◆主な職種
(1) 設計・開発
(2) システムエンジニア
(3) 基礎・応用研究、先行開発
山口大学情報学部情報学科は、これまで工学部の中に設置されていた「知能情報工学科」を改組・発展させ、2026年4月に情報学部として独立設置される情報系の学科です。情報システムコース、人工知能コース、ジオ・インテリジェンスコース、人間情報学コースの4つのコースが設けられており、ハードからソフトまで、基礎から応用までを幅広く学ぶことができます。
本学科には、情報システム、知能情報、空間情報、人間情報といった多様な分野を専門とする教員が所属しており、情報学の「広さ」と、各分野の「深さ」の両方を身につけることが可能です。自分の興味・関心に合った研究テーマを見つけ、多様な分野にまたがる幅広い知識を得られる環境が整っています。
| Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 情報工学です。日々技術が進化していることを実感でき、常に新しい知識やスキルを学び続けられる分野だと感じています。学んだことを社会に活かし、実際の課題解決に役立てることができる点にも大きな魅力を感じます。 |
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| Q2.大学時代の部活・サークルは? アメリカンフットボール部に所属していました。スポーツが好きで、学生時代にしかできないことに挑戦したいと思い入部しました。ハードな練習を通じて、心身ともに鍛えられたことは大きな財産です。現在でも体を動かすことが趣味で、トレーニングを続けています。 |
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| Q3.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 子育てです。子どもの日々の成長には驚かされることばかりで、多くの発見があります。その姿に刺激を受けて、私自身も生涯を通じて成長し続けたいと感じています。 |

