制御工学をもとに、AI技術を機械からインフラまで安全に導入する

コントロールのための学問
皆さんは普段の暮らしで「コントロール」という単語を使いませんか。TVゲームで可愛いキャラクターを動かす装置(コントローラ)であったり、野球やサッカーなどスポーツでも使います。怒りや悲しみなど感情をうまくコントロールできないという文脈で出てくるかもしれません(4歳の娘もよくプンスカしてます)。
これら全く異なる話題で登場するコントロール、つまり物事を思い通りに操るための理論を考える学問が「制御工学」です。自動車・ロボット・航空機などの機械から、毎日の生活に欠かせない電力・水道・交通などインフラに至るまで、何でも物理的にモノがあるだけでは動きません。制御工学をもとにモノの動かす仕組みを作って導入することで、初めてモノを動かせるようになります。
AI技術を安心して使える社会を目指して
私たちは制御工学をもとに、AI(人工知能)技術を機械からインフラまで安全に導入する技術を開発しています。
宿題の一部をAIに助けてもらったりオススメのお店を教えてもらったり、意識してみると身の回りに様々なAI技術があることに気付きますよね。今はスマホの向こう(つまり情報世界)の技術ですが、機械からインフラなど物理世界にも取り入れることでさらに便利な世の中にできそうです。
しかし、AIでは原理的に間違いをなくすことはできません。スマホでキャラクターが間違えても笑って許せますが、機械やインフラが間違えることは致命的で許されることではないでしょう。私たちは高度なAI技術を安心して使える社会を目指して、数学をもとにした理論開発から自動車や航空機、電力網や交通網のシミュレーションでの検証まで取り組んでいます。

高校時代は朝から晩まで野球漬けでしたが、2年生の終わり頃にボールの軌道は物理学(力学)で説明できるという授業があり、はじめて勉強に興味を持ちました。野球で自らの経験のみを頼りとしていた落下点を簡単に予測できることが本当に衝撃でした。
しばらくは広い物理への興味だけでしたが、大学で授業を受けながら少しずつ本当の興味がわかってきました。物理学を更に深めて未知の現象を理解したいのか、(制御)工学で現象を操り社会に役に立つものを作りたいのか、後者への興味に気付いて選択した結果が研究者としての専門分野まで長く続いています。
「人由来の非構造化データを活用するマルチモーダル制御理論の開拓」

◆主な業種
(1) 自動車・機器
(2) コンサルタント・学術系研究所
(3) 電気・ガス・水道・熱供給業
◆主な職種
(1) 設計・開発
(2) システムエンジニア
(3) 技術系企画・調査、コンサルタント
◆学んだことはどう生きる?
たとえば、携帯電話などカメラの手ブレ補正や自動車の安全化アシストなど新しい製品や機能の開発など制御工学の専門知識を直接活用する卒業生は多いです。電力・交通・ガスなどインフラの制御から管理に従事する卒業生もいますね。
また、制御工学の考え方を間接的に活かす機会も多いようで、プラントエンジニアとして世界中で工場を設計したり、大手Eサイトで物流の最適化に取り組むなど世界で活躍しています。制御工学を通して、皆さんの可能性を広げられているのではないでしょうか。
私の所属する「物理情報工学科」は、名前の通り、物理学と情報学の融合領域で、それぞれ単独ではできない新しい理論から技術を探求する学科になります。いまではサイバーフィジカルシステムなど物理と情報を繋ぐことの価値は知られていますが、30年近く前から価値に気付いてそのためのカリキュラムを整えてきたのは先見の明があるといえます。
制御工学はまさに融合領域の学問ですし、他にも量子力学からプログラミングまで広く学ぶことができます。中学生や高校生のみなさん、ぼんやりと感じている本当の興味関心を「物理情報工学科」で広く学びながら一緒に見つけていければ嬉しいです。
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Q1.一番聴いている音楽アーティストは? 宇多田ヒカルさん。中学生の頃からファンで、お気に入りのTravelingは今でも目覚ましに使っています。 |
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Q2.感動した/印象に残っている映画は? グレイテスト・ショーマン。こちらでミュージカル映画に興味を持ちました。 |
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Q3.学生時代に/最近、熱中したゲームは? ポケットモンスター赤・緑。中学生の頃ですが、ゲームの中で友達と繋がる初めての体験が楽しかったです。 |
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Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 子育て。保育園の娘から毎日新しい刺激をもらっています。 |