制御・システム工学

ロボットの制御

重要になるロボットたちのチームプレイ 高精度な制御がカギ


山本薫先生

九州大学 工学部 電気情報工学科(システム情報科学研究院 電気電子工学専攻)

出会いの一冊

自動制御とは何か

示村悦二郎(コロナ社)

世の中のあらゆるものは、人工物であれ自然現象であれ、「制御」によって動いています。「制御」という言葉よりも、英語の「コントロール」の方が馴染みがあるかもしれません。たとえば、ゲームのキャラクターをコントローラーで自由に動かしたり、ラジコンでロボットやドローンを好きな場所に移動させたりするのも、まさに制御の一例です。

これらの操作を人の手を介さず自動で行うのが「自動制御」です。 この本では、「自動制御」がどのように誕生し、どう進化してきたのかを、難しい数式なしでわかりやすく解説しています。実は、自動制御は産業革命を支えた重要な立役者でもあり、現代では私たちの身近な場面で活躍しています。そんな自動制御の歴史としくみを楽しく学べる一冊です。

こんな研究で世界を変えよう!

重要になるロボットたちのチームプレイ 高精度な制御がカギ

力を合わせて動くロボット

みなさんは、たくさんのロボットが力を合わせて動くところを見たことがありますか。災害現場での救助や荷物の配達、自動運転車や空飛ぶクルマなど、これからの社会では「ロボットたちのチームプレイ」がますます重要になります。

私たちは、ロボットがどんな場面でもうまく連携し、安全に動ける仕組みを研究しています。特に、ロボットの数が変わっても安定して動けるような新しい制御の方法を考えています。

スケールに左右されない制御技術

チームで動くロボットは、風や振動、人や物との接触などの外からの影響(=外乱)で動きが乱れ、それが周囲に伝わってしまうことがあります。その伝わり方は、ロボットの数(=スケール)によって大きく変わります。

そこで私たちは、スケールに左右されない制御技術を目指しています。ロボットが途中で加わったり抜けたりしても、チーム全体がスムーズに動けることが理想です。

「連続」と「離散」を組み合わせて

最近は、ロボットの「連続」的に変化する物理量(位置や速度など)を、「離散」的に処理するコンピュータで正確に制御するという特性を、できる限り正確に反映した制御手法の開発にも力を入れています。

連続か離散、どちらか一方の性質だけに注目して制御すると、実際の動作ではロボットがギクシャク動いたり、振動が起きてしまうことがあります。チームで動くときは、それが他のロボットにも伝わり、全体の動きに悪影響を及ぼします。そのため、連続と離散の両方の特徴をうまく組み合わせた、高精度な制御がとても重要になるのです。

この研究が進めば、ロボットがもっと身近になり、安全で便利な社会の実現につながると考えています。

研究室で行っている複数ドローンの協調飛行実験の様子です。光学式モーションキャプチャシステムを用いてドローンの位置や姿勢を高精度に計測し、そのデータをもとに制御アルゴリズムの性能を検証します。
研究室で行っている複数ドローンの協調飛行実験の様子です。光学式モーションキャプチャシステムを用いてドローンの位置や姿勢を高精度に計測し、そのデータをもとに制御アルゴリズムの性能を検証します。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

私は高校時代、物理、とくに力学が好きで、大学では工学部建築学科に進学しました。力学の知識が直接的に活かせそうで、さらにデザインの要素もあり楽しそうだと感じたからです。

学部での学びを通して、特に地震や風に対する建物の振動制御に興味を持つようになり、やがて制御理論そのものを深く学びたいと考え、博士課程から制御工学へ専門を転じました。留学によりさまざまな国の研究者と交流する機会が増えたことで興味の幅がさらに広がり、結果的に現在の研究テーマに辿り着きました。

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「移動ロボット群のスケール非依存制御」

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学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 自動車・機器

(2) ソフトウエア、情報システム開発

(3) コンピュータ、情報通信機器

◆主な職種

(1) 設計・開発

(2) システムエンジニア

(3) 基礎・応用研究、先行開発

◆学んだことはどう生きる?

先生の学部・学科は?

先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

3か月でマスターするアインシュタイン

小林晋平(NHK出版)

NHK「おとなの学び」シリーズのテキストです。日常の感覚とは大きくかけ離れた、不思議で興味深い現象が、親しみやすく丁寧に解説されています。アインシュタインの驚異的な洞察力・構想力と深い思考の秘密を垣間見ることができるのが魅力です。


生きること 学ぶこと

広中平祐(集英社文庫)

フィールズ賞受賞者・広中平祐先生の著書です。「何のために学ぶのか」「これからどう生きていくのか」——そんな問いに漠然と悩んでいたとき、この本に出会い、強く心を揺さぶられました。著者自身の経験から紡がれた言葉の数々は深く胸に響き、読み返すたびに新たな気づきと勇気を与えてくれます。


物理学はいかに創られたか

アインシュタイン、インフェルト 訳:石原純

未解決の難問に挑む心構え、鋭い洞察力と豊かな構想力、そして発見に至るまでの過程を追体験できる、知的ロマンに満ちた名著です。思考の深さと探究の楽しさが詰まった一冊です。

一問一答
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?

スウェーデンには住んでいたことがあり、とても住みやすい国だと感じました。街も自然も美しく、スウェーデン人の気質にも日本人と似ているところがあるように思います。

Q2.感動した/印象に残っている映画は?

『カッコーの巣の上で』は、登場人物それぞれが自らの信念に従って行動しており、単純な善悪では割り切れない物語でした。そのため、観ている間じゅう複雑な感情が入り混じり、深く心に残っています。

Q3.大学時代の部活・サークルは?

テニスサークルに所属していました。7年間の留学中もテニスを通じて友人ができることが多く、テニスを続けていてよかったと感じる場面がたくさんありました。

Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは?

テニスです。トーナメントにも出場していますが、試合では自分の技術の範囲で勝つための戦略を、相手の出方を見ながら練るところが面白いです。また、試合結果をもとに必要な技術を磨く過程は、まさにフィードバック制御だと感じます。


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