計測工学

超音波診断技術

いつでも・誰でも・どこでも高精度な医療診断を 超音波診断技術の研究


田原麻梨江先生

東京科学大学 工学院 電気電子系、情報通信系

出会いの一冊

イメージでわかる! 医用超音波の新しい教科書 基礎原理と装置の「なぜ? どうして?」

山崎延夫(金芳堂)

体と超音波のことについて、全部を把握するのは生物から工学までの広い領域をカバーしなくてはならなく、長い時間がかかります。今、医学と工学の連携が強く必要とされていて、自分の専門外を理解することが重要です。

大人になればなるほど、勉強できる量は減ってきてしまうので、高校生の若いうちに、どのようなことが今必要とされていて、何を勉強するべきなのか、少しでも読んでもらえると嬉しいです。また、これを機会に医療超音波画像についての本も本屋さんでのぞいてみると面白いと思います。

こんな研究で世界を変えよう!

いつでも・誰でも・どこでも高精度な医療診断を 超音波診断技術の研究

体の状態を正確に映像化するのは難しい

高齢化社会では、「いつでも・誰でも・どこでも」高精度な診断治療ができる環境が必要です。情報通信技術は日々進化していますが、いかにして体の状態を正確に把握するのかは依然として難しい課題です。

X線やMRIは高精度に画像診断ができる技術ですが、在宅や救急の現場において、超音波が注目されています。超音波は胎児の診断でも使われるように安全な装置でリアルタイムで診断できる、ポータビリティに優れているということが特徴です。一方で、生体の性状(物理的な性質)をいかに正確に映像化するかという点に難しさがあります。

可視化できなかった筋膜の硬さが把握できる

私は音に興味がありますが、人に役立つ超音波診断技術の研究を行っています。今研究しているせん断波(地震学でいう縦波と横波のうち、横波に相当)は、組織の硬さの違いがわかる、これまでは可視化できなかった筋膜の弾性状態を把握できるという利点があります。

この研究では、物理現象の把握がとても重要です。生体構造は人によって様々ですが、一般的な波動伝播モデルを構築し、妥当性を検証することが重要な点です。また、これらを検証するためのシステム開発や医師との連携が必須です。そのために、生体模擬ファントムの製作と実験、解析、医師との打ち合わせを日々行っています。

現在は、筋肉、肝臓、肺の研究開発をしていて、研究室内の実験だけではなく、動物実験や患者さんの実験も行い、研究を進めるのは簡単ではないですが、新しい結果が出た時にはとても嬉しいです!「いつでも・誰でも・どこでも」良い医療診断治療が受けられる世の中を夢描いて研究しています。

リヨンで開催されたエラストグラフィの学会で発表してきました。写真は、星の王子様で有名なサン=テグジュペリの像です。
リヨンで開催されたエラストグラフィの学会で発表してきました。写真は、星の王子様で有名なサン=テグジュペリの像です。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

中高生のときにブラスバンド部に所属していて、楽器や音に興味がありました。当時、まだ海外留学へのチャンスがそれほど多くはなかった時代ですが、大学では海外留学をしたいという希望がありました。東京工業大学は留学生が多いと友人から聞き、東工大に入学し、短期留学をすることができました。

もともとは聴覚など音を聞く方の研究に興味がありましたが、滞在した研究室が超音波治療の研究をしていたことが現在の研究のきっかけになりました。

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「高分解能連続せん断波映像法による病的組織マクロ構造のin vivo映像化とその臨床展開」

詳しくはこちら

先生の分野を学ぶには
もっと先生の研究・研究室を見てみよう
新入生とともにすずかけ台キャンパスで撮影しました
新入生とともにすずかけ台キャンパスで撮影しました
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

◆主な職種

◆学んだことはどう生きる?

先生の学部・学科は?

私の所属する電気電子系は医療系はそれほど多くはなく、通信、パワーエレクトロニクス、回路など素晴らしい実績のある先生方が多くいます。また、情報通信系には画像処理や生体信号処理の専門の先生が多くいます。強みとしては、医療超音波だけではなく、他の領域も横断して勉強ができること、新しいアプリケーションの模索やベンチャー企業など、多くの機会があり、世の中に自分の技術を応用したい人にはとても向いている環境だと思います。

学生さんの発表の様子
学生さんの発表の様子
先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

音のなんでも小事典 脳が音を聴くしくみから超音波顕微鏡まで

日本音響学会:編(ブルーバックス)

音や超音波についての基礎から最新の技術までがまとまって勉強できます。


楽器の科学 美しい音色を生み出す「構造」と「しくみ」

フランソワ・デュボワ、木村彩:訳(ブルーバックス)

人の体の中の波の伝播の様子を勉強にするのに、楽器を題材に勉強すると、理解しやすくおすすめです。


音波・超音波のエレクトロニクス入門 発振器や圧電素子が大活躍! 電気×力学で広がる回路製作

トランジスタ技術SPECIAL編集部:編(CQ出版)

超音波を発生したり検出させたりする電気の入門書です。より工学的な超音波に興味がある人や、実際に自分で作ってみたい人におすすめの本です。

一問一答
Q1.学生時代に/最近、熱中したゲームは?

ファイナルファンタジー

Q2.大学時代の部活・サークルは?

ブラスバンド部

Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

ドーナツ屋さんでドーナツを作るところから、販売、閉店後の片付けまで一通り仕事をしたこと