量子論大図鑑
(Newton大図鑑シリーズ)(ニュートンプレス)
高校生までに習う力学は古典力学ですが、もっともっと小さいところで成り立つ力学が量子力学です。この小さな世界では、我々の生きているマクロ(大きな)世界では信じられないようなことがたくさん起こります。
この本は量子力学がどのように始まったか、小さな世界でどのようなことが起こるか、今どういうふうに応用されているか、将来どういうことに応用できそうかということについて、挿絵たっぷりで魅力的に描かれています。
私は小さい物質の物性や、量子センサを使った測定を行っていますが、その基礎となるのは量子力学です。ぜひみなさんも小さな世界で起こる不思議な現象について興味を持ってみませんか?
ダイヤモンドナノサイズ温度計を用いた、カーボンナノチューブの熱電計測
熱電効果がとても大きいカーボンナノチューブ
熱電効果は地球上で発生する様々な排熱を電気にかえることができるため、クリーンなエネルギー源として注目されています。カーボンナノチューブは非常に細い直径(~1nm)を持っている1次元的な物質であり、この細い直径のため熱電効果がとても大きいことがわかってきました。
カーボンナノチューブは1本1本直径が異なっており、様々な種類が存在します。私はこの様々なカーボンナノチューブの熱電効果について調べたいと思って研究を行っています。
1本の物性を調べるのは困難
この研究を行うためにこの小さなカーボンナノチューブの両端に電極をとりつけ、温度差をつけて生じた電圧を測る必要がありますが、カーボンナノチューブはとても小さいため、その1本の物性を調べるのはとても困難です。
特に小さなものを測るのに適したとても小さな温度計がないと、熱に関する特性を調べることが難しいと考えました。
ダイヤモンドのナノサイズ温度計で温度が測れる!
そこで温度計として着目したのが、近年量子的な効果を使って温度計測を行うことができるダイヤモンド中の欠陥である窒素空孔センタ(NVセンタ)です。欠陥ですので、とても小さい領域の磁場や温度を測定することが可能だとわかり、近年さかんに研究されています。
ダイヤモンドのナノサイズ温度計を用いて、これまで測ることができなかったとても小さい(ナノサイズの)物質の物性を測定する、それが私の研究です。
大学生の時、習った中で一番面白かったのは量子力学で、現実とは違う不思議な世界に引き込まれました。一方計算ばかりで現実味がないかのようにも感じていました。
研究室配属の時にナノテクノロジーの世界に入れば、量子力学を実験的に行うことができると聞いて、ぜひ量子力学を自分の手で見てみたいと思い、カーボンナノチューブを取り扱う研究室に入りその電気物性測定の研究を行いました。
その後、ポスドクとして様々な研究室を渡り歩き、ダイヤモンドによる量子センシングの研究室に入り、量子センシングの研究を行いました。生活は不安定でしたが様々な人と出会い、研究テーマに巡り会ったなと思っています。
「量子センサを用いたカーボンナノチューブの熱電計測」
◆ 清水研究室HP
◆主な業種
(1) その他の材料・製品
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
埼玉大学の電気電子物理工学科には、電力関連、システム関連、材料関連、量子関連、様々な分野の先生がいます。基礎から応用まで幅広く色々なことが学びたい人にお勧めできます。
まだ自分の興味のある方向が完全に定まっていない人も、学びながら自分の興味のある方向を選ぶことができると思いますし、もちろん定まっている人は、その方向について極めることができると思います。
自分が考える小さなものについて、その大きさを調べてみましょう。(例:ミジンコ、髪の毛の細さ、花粉)
ナノサイズがどれくらい小さいか考えてみてください。

