構造・機能材料

金属材料

ミルフィーユのように金属を重ねて、スゴイ!材料に


徳永透子先生

名古屋工業大学 工学部 物理工学科

出会いの一冊

ご冗談でしょう、ファインマンさん

R.P.ファインマン 訳:大貫昌子(岩波現代文庫)

専門と近い内容というわけではないのですが、広く研究というものに興味を持っていただくという意味では、面白い本だと思います。

この本の著者の場合、興味を持ったことにどんどん首を突っ込んでいくことが研究につながっていくのですが、その面白さとともに大切なことも教えてくれる一冊です。ぜひ高校生のうちから少しでも興味が沸いたことには積極的に取り組んでみてもらえたらなと思います。

こんな研究で世界を変えよう!

ミルフィーユのように金属を重ねて、スゴイ!材料に

5種類以上の金属を混合し強度を向上

今取り組んでいるテーマの一つに「Ti系ハイエントロピーミルフィーユ材料のキンク強化」というものがあります。この研究のキーワードは「ハイエントロピー合金」「ミルフィーユ材料」「キンク強化」の3つです。

皆さんがよく目にする一般的な合金(たとえばアルミニウム合金)では、基となる金属の中に他の元素を少し足したものがほとんどです(たとえばアルミニウムに銅や亜鉛など)。一方、ハイエントロピー合金は、厳密には5種類以上の金属をおおよそ等濃度で混合した合金のことで、一般的な合金と比べて強度や耐熱性などが向上することが知られています。

金属でも硬い層と柔らかい層を交互に

次にミルフィーユ材料ですが、このかわいらしい名前の由来はお菓子のミルフィーユです。硬いパイ生地と柔らかいクリーム部分の層状構造から成るミルフィーユのように、金属でも硬い層と柔らかい層が交互に積層した構造をとる場合があります。これがミルフィーユ材料と呼ばれ、最近この層構造を利用することで材料が強化される「キンク強化」という現象が見出されました。

より強くより優れた材料への挑戦

そして、これらを全部一気に利用してしまおう、というのが私の研究です。ミルフィーユ材料の層のどちらかをハイエントロピー合金にして、さらに層構造も整えることでより強く、より優れた特性を持つ材料を作りたい、という欲張りかつチャレンジングな研究です。

そもそもハイエントロピー合金、もしくはミルフィーユ材料だけを作るということすら、とても難しいのですが、それを一気にやってしまおうというのだから、この研究はうまくいかないことばかりです。でも、それを積み重ねた上にスゴイ!と思える材料ができたり、予想外のワクワクする現象が突然現れるので、やめられないですね。

金属の組織を電子顕微鏡で観察している様子です。このように普段から学生同士で研究内容について話したり、議論したりしています。悪い結果が出てしまったときはみんなで改善点を探し、いい結果が得られたときはみんなで喜びます。
金属の組織を電子顕微鏡で観察している様子です。このように普段から学生同士で研究内容について話したり、議論したりしています。悪い結果が出てしまったときはみんなで改善点を探し、いい結果が得られたときはみんなで喜びます。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「Ti系ハイエントロピーミルフィーユ材料のキンク強化」

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金属の性質を知るためにはまず金属をきれいに研磨する作業がとても大事です。この写真のように、学生たちは研究室で地道に経験を積むことで、素晴らしい金属研磨職人になっていきます。
金属の性質を知るためにはまず金属をきれいに研磨する作業がとても大事です。この写真のように、学生たちは研究室で地道に経験を積むことで、素晴らしい金属研磨職人になっていきます。
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 自動車・機器

(2) 鉄鋼

(3) 非鉄

◆主な職種

(1) 設計・開発

(2) 基礎・応用研究、先行開発

◆学んだことはどう生きる?

先生の学部・学科は?

私が所属している物理工学科材料機能分野では、燃料電池、太陽電池などのクリーンエネルギー材料、電子のスピンを制御するスピントロニクス材料、自動車や航空機で使用される高強度構造材料など、様々な材料に関する研究を行っています。

私たちの研究室では特に、金属系構造材料の特性向上について、ナノ、メゾ、ミクロの幅広い観点からの「マルチスケールな材料組織制御」を実現するべく日々研究を行っています。取り扱っている材料も鉄鋼材料、アルミニウム、銅、チタンなど様々で、それぞれの材料に対して組織制御、結晶方位制御などを行うことで、軽量、高強度、高耐熱性、高耐食性といった複数の機能を併せ持つ材料の実現を目指しています。

先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

数の悪魔 算数・数学が楽しくなる12夜

H.M.エンツェンスベルガー(晶文社)

算数が特に好きでなくても、算数・数学の楽しさに触れることができる一冊です。

一問一答
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は?

たくさん選びたいところですが、医・薬学部などに興味があります。身体に詳しくないので憧れがあります。

Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?

ポーランド。食べ物がおいしいからです。

Q3.大学時代の部活・サークルは?

ラクロス部

Q4.好きな言葉は?

一以貫之