電子を知れば科学がわかる 物質・量子・生命を司る小さな粒子
江馬一弘(ブルーバックス)
この本では、物質を構成する電子がこの世界の主役であるという視点から、現代物理学の中で電子の謎がどのように解明されてきたかを丁寧に説明しています。
電子は、地球が太陽の周りを回るような軌道ではなく、雲のようにぼやけた形で存在が表されます。これは量子力学の法則に従っているためで、特殊な場合を除いて、電子の軌道は線ではなく確率的に広がった分布として理解されます。そこから、金属、絶縁体、半導体、超伝導体といったような性質も説明されます。こうした知識から、量子力学に基づく計算から物質の性質を明らかにしていくというイメージが多少なりとも伝わるかと思います。
新たな半導体材料を求めて、計算機で物質の性質を探る
元素の組み合わせや並び方で多様な性質となる
私は、計算機を用いて物質の性質を探る研究を行っています。物質は元素の組み合わせやその並び方によって多様な性質を持ち、私たちの暮らしに深く関わっています。物質の研究には実験装置を用いた研究や紙と鉛筆による理論的研究に加え、計算機・コンピュータを活用した手法も重要です。
私は原子レベルのモデルを用い、電子の振舞いを記述する量子論に基づく計算で物質の性質や機能を探っています。こうした計算から、原子レベルでどのような並び方が最も安定かを予測することができ、例えばそこから物質の格子定数が得られます。また、電気を通すか通さないかも知ることができます。
固体の電子状態計算と分子を扱う量子化学計算
物質のミクロな世界の計算を行う大学の研究室は、学部や学科を横断して存在しています。大きく分けると、固体の電子状態計算と分子を主に取り扱う量子化学計算とに分かれます。私は、固体の電子状態計算の方を行っています。
前者は理学部物理学科に加え、工学部応用物理系・材料系・電子工学系・機械系、さらには情報科学関連など、後者は理学部化学科、工学部応用化学科などに教員が分散しています。そのため、どのような基礎学問を学びたいか、また研究対象として何を重視するかによって学科選びが変わってきます。
半導体の性能向上
私の今までの物質のターゲットは、半導体が中心です。半導体の性能向上においては、構造や回路を工夫する方向性と、今までの半導体材料の主流のシリコンを他の材料を置き換える方向性があり、後者が私たち研究室で現在取り組んでいるテーマになります。
結論から言うと、大学院に進学して現在の専門分野に至りました。
高校時代に物質科学の分野の研究を知っていたら、その分野を大学で選んだかと思います。しかし、世の中にインターネットが広まっていない時代での高校時代だったので、情報不足であったことに加え、オープンキャンパスに足を運ぶ機会がなく、知る機会はありませんでした。
大学は応用数学科でしたが、就職氷河期であったため就職活動がうまくいかず、数学と英語と面接で入学のできる国公立大学の大学院を探し、現在の専門分野に出会いました。
「パワーデバイス応用に向けたGaNの点欠陥制御および絶縁膜界面制御の第一原理計算」
私が所属するマテリアル学科(R8年度より工学科材料コース)では1年次でしっかりと基礎を固め、2年次から幅広い材料科学をしっかりと学ぶことができる特色があります。また、学生が教員と近い距離で学ぶことができます。学部としての特色は、明治時代からの長い伝統を持つこと、工学部だけで1つのキャンパスを構成されていて工学部という枠で他学科の学生と密に交流できることかと思います。
さまざまな半導体のN型半導体とP型半導体について
高校の物理の教科書では、シリコンを例にN型半導体およびP型半導体の仕組みが説明されています。シリコン以外での半導体ではどのような元素を混ぜることでN型半導体、P型半導体を作ることができるのでしょうか。とりわけ、シリコンの隣の13族と15族で組み合わされた半導体について考えてみてください。また、どの物質でも簡単にN型半導体とP型半導体を作ることができるのでしょうか。
ドイツの都市と生活文化
小塩 節(講談社学術文庫)
世界情勢の変化は目まぐるしいですが、私が20年以上前にドイツに渡る時に読んだ本です。異国で生活をする場合は、言語だけでなく多少なりとも異国の文化の理解も必要かと思います。
| Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? マテリアル(材料)工学か物理工学 |
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| Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? ドイツかデンマーク:ドイツは、家族が住んでいるため。デンマークは、自然が豊かである上に、自国産の食材・食べ物が美味しいため。 |
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| Q3.学生時代に/最近、熱中したゲームは? 『2048』(最近、移動中の飛行機で) |
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| Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 家族との時間 |

